マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=430円台前半まで下落し、9月18日以来の安値を更新した。450円の節目を挟んで売買が交錯する展開が約2週間にわたって続いていたが、世界的にハイテク株の地合が不安定化したことで、ゴム市場でも調整売りが膨らんだ。産地供給不安の織り込みが一服していることや、原油相場の急落もネガティブ材料になった。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万9,000元を割り込んだ。10月中旬は2万元の節目に抵抗を受けていたが、株安環境で投資家のリスク選好性が後退する中、調整売り優勢の展開になった。9月下旬の上げ幅をほぼ相殺する軟調地合になっている。

 9月下旬は産地天候不順を手掛かりに急伸していたが、供給リスクの織り込みは一服している。エルニーニョ現象は続いており、主産地タイでは引き続き豪雨が報告されている。タイ気象庁からは連日のように注意報が出されており、洪水、鉄砲水、土砂崩れなどの災害が発生するリスクが警告されている。ただし、9月にみられたような大規模な生産障害が発生しているわけではなく、供給リスクの織り込みは一服している。タイ現物相場も緩やかな値下がり傾向にあり、産地主導で改めてゴム相場を押し上げるような動きはみられなかった。

 供給不安の織り込みが一服する中、ゴム市場の関心は株価動向に集中している。7~9月期の企業決算の発表が本格化する中、半導体を筆頭とした人工知能(AI)関連株が急落したことが、マーケット全体の地合を悪化させている。AIの過剰投資に対する懸念が強くなっており、いわゆる「AIバブル」への警戒感が強まった。ただし、11月3日の米中間選挙後は、米政治の不確実性が緩和されたことなどで米国株が急伸し、リスク投資の地合改善が進んでいる。

 一方、11月に入ってから原油相場が急落している。WTI原油先物相場は1バレル=105ドル水準から80ドル台後半まで、1週間で15%を超える急落地合になった。米国とイランの停戦協議再開への期待感が高まる中、中東からの供給不安が緩和・解消に向かうとの期待が織り込まれている。米中間選挙で、イランとの戦争終了を訴える民主党が上下両院で多数派を奪還したことも、原油相場の上値を圧迫した。原油安と連動して、上海ブタジエンゴム相場が急落している。上海天然ゴム相場に対する直接的な影響は限定されたが、上海ゴム相場の上値圧迫として機能した。

 ドル/円相場は1ドル=158円を挟んで明確な方向性を打ち出せていない。為替要因で積極的に売買を仕掛けるような動きはみられなかった。