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とある市場の天然ゴム先物 32

【4月4日】天然ゴム先物の市場流動性が改善予定!

連載 2022-03-23

大阪取引所 デリバティブ市場営業部 矢頭 憲介

 第29回の記事では、2021年の天然ゴム先物市場の動向を振り返りました。

 その際、RSS3先物の取引高や取組高(建玉残高、投資家が保有しているポジション)が減少を続けていること、そして市場の縮小トレンドを止めるために何らかの対応策が必要ということをお話しました。

 この対応策について、大阪取引所では具体的なプログラムを取りまとめて4月4日より実施予定です。今回は2022年に入ってからの市場動向も振り返ったうえ、この新たに導入されるプログラムと期待される効果についてご紹介します。

2022年に入ってからの市場動向

 2021年の市場動向の特徴の一つ目は、取引高が大きく低下したことです。

 2021年の一日平均取引高は2,995枚であり、前年の4,464枚から大きく減少しています。2016年には10,000枚近くあったことを考えますと、市場縮小が顕著となっています。

RSS3先物価格(第6限月)、取引高推移(2021年1月~2022年3月)

出所:JPXより筆者作成

 2022年に入りますと、特に2月中旬から一時250円を超える動きを見せたことで、ある程度の商いを伴いながら相場が上昇しました。しかしウクライナ情勢で急騰を続ける原油や他のコモディティを尻目に、中国の天然ゴム先物市場が下落したことで、結局は元の価格水準まで戻ってきてしまいます。

 その後は薄商いとなり、3月18日までの2022年の一日平均取引高は2,866枚と、2021年の水準よりもむしろ低くなってしまっています。

 では誰が取引を減らしているかという点が気になるところですが、ここで投資家の主体別の取引高を集計した統計である「投資部門別取引状況」を見てみましょう。

RSS3先物 投資部門別取引状況(月次、売買合計)

出所:JPXより筆者作成

 前回では2021年2月以降に個人投資家(専業の国内ディーラーも含む)のシェアが下落しており、結果として海外投資家のシェアが増加していることをお伝えしましたが、2022年に入ってもその傾向は継続しています。

 こちらはあくまでもシェアのデータですので、取引高全体が落ちていることで最大シェアの海外投資家も取引高自体は減っているのですが、それ以上のペースで個人投資家の取引が落ち込んでいることが分かります。

 また前回、2021年の市場動向の特徴の二つ目として、投資家が新しく積み上げたポジションの合計である取組高(建玉残高)が大きく減少したことも取り上げました。

 2021年に入り取組高の水準はじりじりと減少しており、7月に一度切り返したものの、10月以降に急減少して10,000枚を割り込み、2021年12月末で8,420枚まで落ち込みました。年末時点で取組高が10,000枚を割り込んだのは、2022年3月現在で203巻まで発刊されている漫画、「ゴルゴ13」の連載が開始された1968年以来となります。

RSS3先物 取組高推移

出所:JPXより筆者作成

 2022年に入ると、取組高は1月17日に7,891枚と8,000枚をも割り込むこととなります。2月に入って相場も上向きになったことで一時11,000枚まで回復しますが、相場が息切れをしたことでフローの流入は続かず、3月に入って再び1万枚を割り込んでしまいました。

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