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とある市場の天然ゴム先物 23

天然ゴム先物「6→12限月制」変更後の市場動向を確認してみる

連載 2021-09-28

大阪取引所 デリバティブ市場営業部 矢頭 憲介

 第20回において、天然ゴム先物(RSS3、TSR20)の限月数が「6限月」から「12限月」に変更となることをご紹介しました。

 そこで今回はこの制度変更後の市場動向を簡単に確認してみましょう。

12限月制への変更後の市場動向

 大阪取引所で取引されているRSS3先物、TSR20先物につきまして、過去には数年間変更されていたこともありましたが、基本的には6限月制(=各取引銘柄数が6銘柄)を維持してきました。

 大阪取引所では両先物の更なる取引拡大を目指し、2021年9月21日(火)よりこの限月数を「6限月」から「12限月」に変更しています。

 12限月に変更されたばかりではありますが、市場動向にどのような変化が生じたのか、また今後何らかの変化が生じる可能性があるのかについて、簡単に見てみることにいたしましょう。

 まずはRSS3先物の取引高、取組高の動向です。

12限月制への変更前後のRSS3先物 取引高、取組高

出所:JPXより筆者作成

 こちらより、9月21日に追加された限月では、第12限月である2022年8月限にのみ取引高、取組高があることが分かります。

 RSS3先物では後述のマーケットメイカー制度の対象が第5、6限月ですので、当初より新規追加となった第7~12限月の取引がいきなり大きく盛り上がることは想定していませんでしたが、取引があるとすれば最も流動性が高い2022年2月限近辺の銘柄になるのではないかと考えていましたので、最も期先である第12限月(2022年8月限)のみが取引されたのは少し予想外でした。

 また取引のあった第12限月ですが、取引の規模は大きくなく、現状では流動性が大きく分散するような動きは出ていないことが分かります。

 なおTSR20先物では、この期間に既存限月、新規追加限月ともに取引はありませんでした。

 次にRSS3先物の各限月における注文状況を見てみます。

12限月制への変更前後のRSS3先物 板状況(日中取引、15:15時点)
2021年9月21日


2021年9月22日


2021年9月24日

出所:JPX

 新規追加限月のなかでは、気配が更新されながら提示されているのは第12限月(2022年8月限)のみであり、第10、11限月は売り買い両側で気配が出ていたものの更新頻度は低く、第7~9限月には両側の気配がまだあまり出ていないことが分かります。

 まだスタートしたばかりですので市場参加者も様子見の模様ですが、第12限月の2022年8月限には取組高がしっかり残っていることから、この銘柄が期近に移っていくことに従い、次第に第12限月以外の期先銘柄にも気配が提示されるようになってくるのではないか、と期待しているところです。

 なおこちらの大阪取引所の先物価格情報ですが、9月21日以降、全限月が表示されるようになり、また過去5営業日分のデータも見ることが出来るようになりました。こちらより閲覧できますのでぜひご覧下さいませ。

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