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とある市場の天然ゴム先物 18

【市場比較②】日本と中国の天然ゴム先物市場 (1)

連載 2021-07-06

大阪取引所 デリバティブ市場営業部 矢頭 憲介

 前回、日本と各市場の天然ゴム先物市場の比較の第一回として日本の大阪取引所(OSE)とシンガポール取引所(SGX)を取り上げました。今回は日本と中国の上海先物取引所(Shanghai Futures Exchange, SHFE)の比較をしてみましょう。

意外と新しい先物市場

 天然ゴム先物市場としては、シンガポールでは戦前から、日本では1952年から取引が開始されています。一方、中国では戦後、計画経済に基づいた経済体制となっていたため、先物市場が正式に開始されたのは1993年と遅く、鄭州商品取引所においてスタートしました。

 その後、法制度や監督制度の整備が不十分であったこともあり、一種のブームのような形で中国各地に先物市場が乱立するようになります。

 こうした状況を当局が問題視し、1993 年の国務院、1994年の国務院証券委員会の通達により既存の取引所の再審査といった規制が設けられ、一時は50ヶ所以上もあった先物取引所が15ヶ所まで整理されることとなりました。この流れはその後も続き、1998年には先物取引所は上海先物取引所、大連商品取引所、鄭州商品取引所の3ヶ所に集約される方針が打ち出されます。

 この整理の下で、1999年4月に上海金属取引所、上海商品取引所、上海糧油商品取引所が合併する形で上海先物取引所(Shanghai Futures Exchange, SHFE)が設立され、天然ゴム先物も上海商品取引所において取引されることとなりました。

 なお先物市場の整理において、農産品の取引については大連商品取引所、鄭州商品取引所に、金属、工業品の取引は上海先物取引所に集約されることとなりましたが、この際に天然ゴムは「工業品」とカテゴライズされていたという点は面白いところです。

 その後、2000年代に中国経済が急拡大したことに加え、2000年前半から商品市場価格も急騰したことから、上海先物取引所は一気に急発展を遂げます。天然ゴム先物では2003年に取引高で日本を抜き、現在、上海先物取引所は世界最大の天然ゴム先物市場として圧倒的な存在感を放っています。

両市場の天然ゴム先物取引高の推移

出所:JPX、SHFEより筆者作成

商品スペック、取引制度の違い

 それでは、まずは両市場で取引されている天然ゴム商品について見てみましょう。

両市場の天然ゴム商品

出所:JPX、SHFEより筆者作成

 日本で取引をされている天然ゴム先物はRSS3先物とTSR20先物となりますが、上海先物取引所では天然ゴム(Natural Rubber)先物となっています。この先物の対象となる天然ゴムは、中国産の場合は国内基準に準拠したSCR WF、海外産の場合は日本のRSS3先物と同様、国際基準(グリーンブック)に準拠したRSS3となります。

 2020年の取引高で比べると、上海先物取引所の天然ゴム先物市場は日本より100倍ほど大きいことが分かります。ただし日本の天然ゴム先物の取引単位が5トンであるところ、中国では10トンとなりますので、実質的な取引高を比べる際には上海先物取引所の取引高を更に2倍して見る必要があります。

 なお、上海先物取引所の天然ゴム先物は、燃料油、鉄筋丸棒、銀、アスファルト、ニッケルに次ぐ取引高となっており、主力商品の一つと言えるでしょう。

 また、上海先物取引所では、Natural Rubber先物を原資産としたオプション取引も取り扱っています。こちらは上海先物取引所のなかでは、銅先物オプションに次いで2番目に取引高の大きい商品となっています。

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