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とある市場の天然ゴム先物 11

先物市場で取引される天然ゴムはどの国で生産されているの?

連載 2021-03-23

日本の品質向上への取組み

 日本においては、戦前から戦後にかけて複数の品質条件が採用されており、劣等品がよく含まれていたことに加え、クレームが発生した場合でも日本で仲裁裁定を行うことができませんでした。そこで戦後に日本ゴム輸入協会の主導で、輸入品の品質標準化(標準品買付方式)、紛争仲裁の日本での実施を働きかけていくことになります。

 このうち特に品質の標準化は輸出側だけでなく、国内の需要家との間で調整が難航します。一時は日本ゴム輸入協会の会長と常任理事が調整失敗の責任を取って辞任する事態にもなりました。

 それでも1957年にようやく国内で標準品買付方式について承認を得ると、新たに定められた国際規格の内容とも矛盾がなかったことから海外の大手輸出業者も賛同し、また紛争仲裁も同年に日本で初めて実施されることとなりました。

 これ以降少しずつ輸入ゴムの品質は改善されていきますが、それでもRSS3号の品質問題は度々発生します。こうした問題を起こしたのは海外の業者だけでなく、日本の業者が輸入天然ゴムの等級を刷り替えて販売するという詐欺事件まで起きました。

 その対応として、1960年に日本ゴム工業会、日本ゴム輸入協会、日本ゴム協会、東京と神戸のゴム取引所が「日本天然ゴム品質協議会」を設立し、品質向上に取り組むこととなります。

 ところで戦前から天然ゴム生産の中心はマレーシア、インドネシアでした。ところが戦後に両国が政情不安に陥るなか、1960年代に世界銀行から5,000万米ドルの融資を受けて天然ゴム改植スキームを成功させたタイが生産量を急増させていきます。

 取引所で先物取引が開始された1952年当時、日本の天然ゴムの輸入量はマレーシアが64.5%、インドネシアが34.5%でした。これが1960年以降になるとタイからの輸入シェアが右肩上がりで増え、1970年以降は60~70%のシェアを占めることになり、2000年代半ばにインドネシアに再び抜かれるまで最大の天然ゴムの貿易相手国となります。

 そうした背景から、日本の業界団体による天然ゴム品質改善の取組みは、主にタイを対象として推進されることになりました。

 タイ産の天然ゴムについては、特に1970年から1980年にかけて増量目的のオイル注入や異物混入、燻煙・乾燥不足といった問題が頻発していました。

 そこで日本ゴム輸入協会がタイゴム輸出業者協会への改善要求や継続的な技術指導ミッションを行い、大手タイヤメーカーや商社の駐在員がタイ各地を巡回して、きめ細やかな改善活動を根気強く行っていきました。

 また1979年から80年にかけ、タイの特定のパッカーからの荷口について、燻煙・乾燥不足や金属片等の異物混入などが相次いで発生したことから、1981年より日本ゴム輸入協会が「シッパー及びパッキングハウスの登録制度」を開始しました。この登録制度は現在まで引き継がれています。

 このような30年以上にわたる関係者による技術指導とそれに応えた産地側の積極的努力により、タイ産のゴムの品質水準は著しく改善することになりました。1980年代後半には概ねグリーンブック規格に準拠し、マレーシア・インドネシア産とも遜色のない品質水準となりました。

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