とある市場の天然ゴム先物 08
【用語・データ集②】ゴム先物市場の活性度を測る指標とは
連載 2021-02-09
取組高は市場のマグマのエネルギー
先ほどの例では市場でAさんが10枚売り、Bさんが10枚買いで売買が成立しましたが、このときAさんは売10枚、Bさんは買10枚のポジションを新たに持つことになります。このポジションは反対売買(Aさんであれば買10枚、Bさんであれば売10枚を市場で改めて取引すること)して相殺するか、その限月の最終取引日まで保有し続けることになります。
この新しく作られたポジションのことを「建玉(たてぎょく)」といい、相場の解説などでは略して「玉(ぎょく)」などと表現されることもあります(「たま」ではありませんのでご注意を!)。この「玉」がポジションのことを表し、それを新たに「建てる」ので「建玉」ということですね。
そして市場における建玉の合計を「取組高(とりくみだか)」または「建玉残高(たてぎょくざんだか)」と言います(商品先物においては「取組高」と表現するのが一般的です)。
上の例ではAさん、Bさんがそれぞれ売りと買いの建玉を新たに10枚建てることとなり、市場の取組高としては10枚増えることになります。逆に、反対売買でポジションを相殺すること(業界用語で「仕切る(しきる)」または「手仕舞う(てじまう)」)ともいいます)により、取組高は減少します。
このように、取引高は投資家の新しいポジションを積み上げたデータであり、市場のマグマのエネルギーを表していると言えます。取組高が増えているということは、投資家がポジションを増やしながら相場の動きを待っているサインと見ることができるでしょう。
他の多くの商品先物と同様、ゴム先物は現物の天然ゴムの裏付けのある商品設計となっていますので、この取組高の推移は相場を分析するうえで非常に重要な指標となります。特に売りまたは買いポジションを多く持っているのが実需筋なのか投機筋なのかによって、その後の相場の見通しは大きく変わってくるでしょう。
RSS3先物価格と取組高の月次チャート
1993年から1994年にかけて取組高が急増し、1995年2月には50万枚を突破した。これだけ短期間に取組高が急増するというのは実需主導とは考えにくい。一方で2004年からの上げ相場では取組高は増えず、以降は減少傾向にある。
出所:日本取引所グループ
こちらの取組高にも投資家のカテゴリー別にまとめた投資部門別建玉内訳集計表があります。取引高と比較すると、海外投資家の取組高はその時々によって全体の50~70%の間で増減する、金融機関の比率が高くなっていることなどが特徴として挙げられます。
RSS3先物の投資部門別建玉内訳(2021年1月25日~29日)
出所:日本取引所グループ
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