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連載「つたえること・つたわるもの」(78)

大学入試。英語に4技能を求めるのに、日本語は2技能のみ。

連載 2019-11-26

 さて、これまであまり話題に上らなかったが、今年の3月23日に開催された日本学術会議主催のシンポジウムで、「CEFR(外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)がとり上げられた。

 発表者の一人、立教大学名誉教授の鳥飼玖美子さんは、「複言語文化主義から生まれたCEFR:その目的と理念」の中で、「伝統的な4技能は、コミュニケーションの複雑な現実をとらえるには不十分」であるとして、従来からの「4技能」から「4モード(様式)・7技能」へのシフトチェンジに注目している。

①受容(聞くこと・読むこと)
②産出(話すこと・書くこと)
③相互行為(話すことのやりとり・書くことのやりとり)
④仲介(複言語複文化能力による橋渡し役・まとめ役)

 さらに、CEFR A2 レベル 能力記述文を評価する一例として、次のような説明がなされている。

■聞くこと(会話、講義、アナウンスなどを聞く):
ゆっくり、はっきり話してもらえれば、具体的なことに対応できるくらいは理解できる。

■読むこと(手紙、指示、情報、議論、本などを読む):
具体的で身近な内容が日常的に使う言葉で書かれ、短い簡単なテクストなら理解できる。

■話すこと(体験、情報、意見などを言える):
人物や周囲の環境、日常的な行動、好き嫌いなどについて簡単な文で言える。

■書くこと(創作、レポート、エッセイなどを書く):
簡単な接続詞(and, but, because など)を使って簡単な文章を書ける。

■やりとり(会話、討論、会議での議論、意見交換、インタビューでの対話):
日常的な場面で身近な話題についてなら、質問をしたり答えたりできる。

 また、④の「仲介」にある「複言語複文化能力による橋渡し役」とは、いまや英語が世界のコミュニケーション言語であることは間違いないとしても、その国や地域で用いられる複数の言語文化的な背景が複合的に影響し、そして常に変化している中で、たとえば英語と日本語など複数の言語知識と言語体験を、それぞれの言葉でコミュニケーションし、その背景を考慮して文化的に対応する能力をいうそうだ。

 これまで、英語を流ちょうに話すネイティブスピーカー(正式には、イギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダの一部など、英語を母語とする英語話者のことだが、かつて英語圏の植民地だったアジアやアフリカで第二言語として英語を達者に話す外国人も含む)を日本の小学校の英語授業でも講師に招いているのだが、ヨーロッパ発想のCEFRは「英語能力記述文から、母語話者(幼少期から自然に習得する言語=母語を話す人)を削除し、理想的な母語話者を目指さない」という方針を示しているという。どちらも英語の母語話者ではない日本とヨーロッパ(英国を除く)におけるネイティブスピーク(英語の母語話者のような発音、イントネーション)のとらえ方が180度異なっているようだ。

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