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連載「つたえること・つたわるもの」(73)

免許更新の高齢者講習。摩耗するタイヤ、明け渡しのレッスン。

連載 2019-09-10

 さて、高齢者講習の会場に行くと、参加者は9名のみ。この日は、てっきり70歳以上75歳未満を対象とした「2時間講習(座学30分・運転適性検査30分・実車60分)」だと思っていたのだが、明らかに80歳以上と思われる高齢者が3名参加されていた。講師の説明では、この方々は75歳以上を対象とした認知機能検査を受けて、76点以上(認知機能が低下している恐れがない)だったので、75歳未満を対象とする「2時間講習」を受けることができる由。ちなみに49~75点(認知機能が低下している恐れがある)の場合は「3時間講習(個別指導60分を追加)」、48点以下(認知症の恐れがある)の場合は「医師の診察(診断書の提出)」が求められるのだという。

 座学に続いて、実車指導があった。指導員一人と受講者三人が同じ車に乗って、教習所構内を交代で運転する。ほぼ毎日ハンドルを握り、遠出では往復300kmを運転する私が一番手。車庫入れを兼ねた方向変換では、バックビューモニターはなく、バックミラーとサイドミラーを見ながら回る。S字クランクはゆっくりハンドルを切る。生垣で見通しの悪い交差路は少し手前で止まり、そろそろと左右を安全確認しながら進む。制限速度30kmの外周路カーブの障害物では、少し手前から減速、ウインカーを右に出し、通過したら左のウインカーを出し、元の車線に戻る。教習所に通ったころ、数十年前の記憶がよみがえる。

 次の運転は80歳代半ばの受講者。車庫入れを兼ねた方向変換では、すぐ縁石に乗り上げ、何度もハンドルを切り返す。見通しの悪い交差路では「もっと手前で止まるように」と注意を受ける。S字クランクもあまり減速せず、急カーブを切る。

 「もっとゆっくり」と注意。外周路カーブの障害物でも、速度を落とさずに右車線に出て、左車線に戻る。これも急カーブぎみの運転で、これも「もっとゆっくり」と注意。運転終了後は、ギアをパーキングに入れたものの、サイドブレーキを引くのを忘れた。後部座席にいた私たち(もう一人は私と同年代)も、冷や冷やしながらの実車指導となった。しかし、これは他人事ではない、あと10年後の私もこうなるかもしれない、いつかはやってくる免許証返納の日のことを思った。

 教習室に戻り、今度は運転適性検査を受ける。静止視力(免許更新には両眼0.7以上が必要)は両眼1.5でクリア。動体視力は平均0.66(30~59歳の平均よりやや高い)でOK、夜間視力は1回目6秒・2回目9秒(両眼とも30秒以内で問題なし)でクリア、視野角度は右眼145度+左眼149度=両眼175度(30歳代の平均175度、70歳代の平均153度)でOK、いまのところ視力の問題はなさそうである。

 私のあとに視力検査を受けた80歳代半ばの受講者は、静止視力は両眼0.7以上だったようだが、それ以外の視力検査はかなり苦戦していた。それでも、運転免許更新に必要な視力(両眼の静止視力0.7以上)さえクリアであれば、動体視力・夜間視力・視野角度など、とっさの運転対応が求められる視力の減退があっても、運転免許証の更新に何ら問題は生じない。これは高齢ドライバー全体に言えることだが、認知機能検査49点以上だけでなく、とっさの運転対応が求められる視力の減退(両眼の静止視力以外のメガネ等で矯正できない視力)についても、今後は免許証更新の条件の一つに加えるべきではなかろうか。

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