連載「つたえること・つたわるもの」(73)
免許更新の高齢者講習。摩耗するタイヤ、明け渡しのレッスン。
連載 2019-09-10
出版ジャーナリスト 原山建郎
半年後の自動車運転免許証更新のために、初の高齢者講習を受けた。これまでは、運転免許センターで簡単な視力検査と講習を受けるだけで新しい免許証が即日交付されたが、2017年の道路交通法改正により、免許証更新時の年齢が70歳~74歳となる高齢ドライバーは、事前に高齢者講習の受講が義務づけられた。来年1月に74歳になる私も、先月末、近くの自動車教習所で高齢者講習を受けることになった。
ここ数年、高齢ドライバーによる交通事故の多発、また高齢者の交通事故死亡者・負傷者数の増加が取り沙汰されているが、講習(座学)の配布資料でその深刻さを改めて実感した。
これは千葉県(平成30年)のデータだが、高齢者(65歳以上)の免許人口は89万6,261人(全体の22.19%=県内の運転免許保有者の5人に1人が高齢者)、同じく高齢ドライバーによる交通事故発生件数は3,878件(全体の22.32%=交通事故を起こしたドライバーの4.5人に1人が高齢者)である。
講習を受ける前にインターネットで調べた警視庁(東京都・平成30年)のデータでも、高齢ドライバーによる交通事故発生件数が5,860件(全体の18.0%=交通事故を起こした運転者の5.5人に1人が高齢者)で、高齢ドライバーによる死亡事故件数のうち、75~79歳が460件(免許人口10万人あたり8.2人)・80歳以上が252件(免許人口10万人あたり11.1人)であった。
また、違反別に見た高齢ドライバー(第一当事者)の交通事故発生状況では、安全不確認(38.1%)、交差点安全進行(16.6%)、前方不注意(12.6%)、ハンドル・ブレーキ操作不適(7.1%)などだが、高齢ドライバーの人的要因別にみた交通事故発生状況では、わき見や考え事による追突・出会い頭事故など「発見の遅れ(81.5%)」がダントツに高く、ついで強引な右折時の衝突事故など「判断の誤り等(10.2%)」、ブレーキとアクセルの踏み間違え事故など「操作上の誤り(7.9%)」が指摘されていた。
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