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連載「つたえること・つたわるもの」(44)

膝を打つ・相槌を入れる、話し手・聴き手、感動の共振・共鳴。

連載 2018-07-10

 物理の教科書に「共振」と「共鳴」のことが出ていた。ポイントをかいつまんで紹介しよう。

 まず、「共振」の説明から。糸の長さの違う4つの振り子(A~D)を吊るし、振り子Aを振動(揺らす)と、振り子A以外に触れていないのに、それと同じ長さの振り子Cが徐々に振動を始める。しかし、糸の長さがAやCの振り子と違う、BとDの振り子は振動しない。このように、個々の物体が持つ固有振動数と同じ振動数の揺れを外から加えると、物体が振動を始めることを「共振」現象という。

 次に、「共鳴」の説明である。共振現象のうち、音に関するものを「共鳴」という。同じ固有振動数をもつ共鳴箱つきの音叉を2つ用意して、片方を鳴らすと、もう片方も鳴り始める。これは叩かれた音叉が下の共鳴箱を揺らし、その波動(音波)が空気を伝わって、もう片方の共鳴箱を揺らし、その上にある音叉を揺らして鳴らすという現象である。あらゆる物体には固有振動数があり、外部から振動が与えられるとき、与えられる振動が固有の振動数に近づくにつれて、物体の振幅(振れ幅)が急激に増大する。

 楽器や発声においては、発音体(発音物質:声・歌声、弦・リード楽器など)の振動が、より大きな物体(容器や共鳴腔:オペラ歌手のからだ、楽器の共鳴胴)に伝わり共鳴することで、人間がより聞きやすい音に変化する。つまり、発音体が単独のときよりも、聴覚的に大きな音(伝わりやすい音)が得られる。

 少し長い引用になってしまったが、たとえば「マスコミキャリア概論」でいえば、インタビューに応じてくれた『就職ジャーナル』編集長の数々の感動に触発され、同じく雑誌編集長であった私の「からだ」に共振・共鳴をもたらして、それが授業での取材レポートとして発語(発声)され、それを聴いた「マスコミ業界」に憧れをもつ学生たちの「からだ」を通して、さらに増幅して共振・共鳴をもたらしたといえる。

 「マスコミキャリア概論」を講じる私(講師)、『就職ジャーナル』編集長が語った数々のエピソード、「マスコミ業界」をめざす学生たちの憧れの……は、さきの「振り子」でいえば、いつの間にか「糸の長さ」が同じになったのであろうし、音叉でいえば、より増幅された感動の波動が無意識に共鳴しながら、響き合う「からだ」になっていたのではないだろうか。

 現在は、文教大学生涯学習センターで社会人(中高年)向けの講座を担当している。18~22歳という若い盛りの学生たちは、希望と期待に満ちた、ストレートな「からだ」の持ち主だが、40歳~80歳代という幅広い年齢層の方々は、安らぎと祈りに向かう、変化球にも対応可能な「からだ」を求めているようだ。

 中高年受講者の「うなづき」には、苦も楽もともに生き抜いた、これまでの人生の足音が響いている。

【プロフィール】
 原山 建郎(はらやま たつろう) 
 出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員

 1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。

 2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。

 おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。

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