連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」⑪
クロロプレンゴムが足りない
連載 2018-06-11
かつてENICHEMがフランスに持っていたクロロプレンゴム生産ライン設備一式をフランスで分解して、それをインドまで輸送し、インドで再度組み立ててクロロプレンゴムの生産を始めようとした会社がありました。ENICHEMの技術者がこのプロジェクトに採用されたという話もありました。また中国で爆発事故を起こした工場は、中途半端に生産ラインが壊れましたが、危ないのでミサイルを使って全部を爆破したという話もあります(これは本当かどうかちょっとわかりませんが)。
かつて加藤はデンカの青梅工場を見学しましたが、この工場はクロロプレンゴムの原料を世界で唯一、アセチレン法で製造しており、石灰石とコークスを2000度で焼いてカーバイトを作り、水と反応させてアセチレンガスを生産しています。2000℃の真っ赤な炉を見ましたが鉄鋼炉より高い温度で、かつては傍に作業員がいたというからすごい現場でした。
下の写真はデンカの石灰石鉱山にある、100トン大型ダンプに乗っている筆者です。210トンダンプもあり、そのブリヂストン製のタイヤは1本400万円近くするそうです。
クロロプレンゴムはデンカが1962年に、昭和電工が1963年に製造を開始しています。SBR、NBRとともに長い歴史をもって合成ゴムです。世界的にはDuPontがクロロプレンゴムを1931年に発明し、生産開始しています。
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