連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」⑪
クロロプレンゴムが足りない
連載 2018-06-11
加藤事務所代表取締役社長 加藤進一
昨年よりクロロプレンゴムが世界的に不足しています。現在クロロプレンゴムは国内3社、デンカ、東ソー、昭和電工で生産されており、それぞれの生産能力は、デンカは年10万トン、東ソーが年3.4万トン、昭和電工が年2.3万トンと公表されています。どの会社もフル運転中です。国内のゴム成形会社では、注文した量が入手できていますので、それほど危機感はないかもしれませんが、世界的にみると、アジア、欧米では、欲しい量が入手できないという状況が発生しています。世界のクロロプレンゴムの生産能力は下の通り、年32 万トンと考えられており、日本3社のこの中で48%を占め、デンカの米国工場の生産能力を加算するとその割合は62%にもなります。
どうして不足したのでしょう。そもそも塩素が入っているクロロプレンゴムは、自動車産業では脱塩素化でだんだんなくなるといわれ、生産設備を廃棄する会社が相次ぎました。米国のDuPont社も2つあったクロロプレンゴム重合工場の1つを停止し、その生産ラインを廃棄しました。EUではかつてフランスでPOLIMERI(ENICHEM)(今のVERSALIS)社がクロロプレンゴムを生産していましたが、2012年に停止、廃棄しました。中国ではかつて3つ会社がクロロプレンゴムを生産していましたが、このうち1社は製造ラインの爆発事故で停止し、その後廃棄しました。これにより年12.5万トン分の生産能力が廃棄されました。
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