連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」(40)
中国でのEV車は日本のゴム会社にとってマイナスか?
連載 2023-06-07
加藤事務所代表取締役社長 加藤進一
2023年5月に中国に出張してきました。上海地区、浙江省の日系ゴム会社、ゴム原材料会社を数社訪問しました。コロナでのロックダウンが終了し、街にも人々の賑わいが戻ってきました。
上海市内にはEV車(中国でいうNEW ENERGY車、プラグインハイブリッド車も含む)が数多く走っています。上海地区では既に新車販売台数では約40%がEV車で、稼働中の車では20%程度がEV車だそうです。EV車はナンバープレートが緑色なのですぐにわかります。上海地区では地方政府がガソリン車の新規ナンバープレート取得は入札制にして、その入札金額は300万円ぐらいになっており、それでも抽選で入手できる確率は低い。つまりガソリン車を買うと、EV車より300万円余計に費用がかかるのです。とにかく上海ではガソリン車を増やさないよう政府が指導しているのです。
そのEV車を見ると、日本車がない。売れている車はTESLA車が一番多く、次にBYD車です。その他、バスも、小型車もいろいろな自動車会社のEV車が走っています。
2023年春現在、中国の日系ゴム部品会社の幹部と話をすると、どこもゴム部品の注文が少ないといいます。つまり、日系自動車会社の車が売れていない。日本の自動車会社は中国の会社に比べてEV車の開発が遅く、出遅れていますので、売れるEV車がない。よって中国の自動車販売はポストコロナで復活しましたが、それはEV車が売れているので、日系自動車が売れているわけではないのです。
日本の自動車会社で中国市場向けのEV車の生産が始まるまで数年かかると思います。
その間は中国の日系自動車ゴム部品会社は稼働が落ちることが懸念されます。例えばウェザーストリップ、タイヤ等、EV車でも同じようにゴム部品が使われる、そのような日系ゴム部品会社でも、日系自動車が売れないことには、工場稼働が増えません。
EV車の問題はこんなところにも影響がでているのです。
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