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連載「つたえること・つたわるもの」(84)

34年前、東大病院の「入院案内」が変わった。〈教育講演〉その2

連載 2020-02-25

出版ジャーナリスト 原山建郎

 今から34年前(1986年春)、東京大学附属病院の「患者サービス改善推進委員会」から、同委員会のメンバーで看護部長(当時)の小島通代さんから、遠藤さんに文言改定へのアドバイスをお願いしてほしいと、遠藤番記者である私に仲介の依頼があった。そこで、遠藤さんに電話でその旨をお伝えすると、「天下の東大病院が変われば、心あたたかな医療が少しでも前に進む」と言って、その場で快諾されたのである。

 当時の森岡恭彦病院長は、『わたしの健康』誌のインタビューに答えて、次のように語っている。

 まず、できることから変えようと思いまして、入院案内のパンフレットを改定することにしました。どうも東大病院というといかめしいイメージが強いようですが、もっと患者さんのことを考えた医療の立場をはっきりさせたい。最終的には医者にせよ、看護婦にせよ、患者さん個人への対応、つまりは人間の問題になってくるのですが、入院案内の改定をそのスタートとしたいのです。
(『わたしの健康』1986年11月号、197ページ)

 「入院案内」改訂のポイントである7つの項目は、遠藤さんから直接うかがったアドバイスの要約である。改訂前(1986年秋以前)・改訂後(1986年秋以降)・現在(2016年のホームページ掲載資料。※2020年ホームページも、おおむね踏襲されている)で用いられている〈ことば〉の違いも見ていきたい。

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