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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、上海主導で3カ月ぶり高値

2017-09-11


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=210円台での保ち合い相場が続いていたが、9月入り後は突然に230円台まで急伸する展開になった。約3カ月ぶりの高値を更新している。

 背景にあるのは、上海ゴム相場が急伸したことだ。上海ゴム相場も8月下旬は1トン=1万6,000元台で膠着気味の展開になっていたが、9月入りしてから1万7,000元台中盤まで突然に急伸したことが、東京ゴム相場を押し上げている。

 北朝鮮情勢が緊迫化する中、為替相場は円高方向に振れている。このため、円建てゴム相場に対しては下押し圧力が強まり易い環境にあったが、それ以上に上海ゴム相場が急伸したインパクトが大きかった。

 もっとも、天然ゴム需給環境に何か強力なポジティブ材料が浮上した訳ではない。需給見通しに大きな修正を迫るような動きは確認できておらず、専ら中国の投機主導の値動きになっている。単純に1万6,000元台のボックスを上放れしたことで、弱気筋のショートカバー(買い戻し)と強気筋のトレンドフォローの買いが入った以上の評価はできない。

 週前半は中国の製鉄所火災で鉄筋相場が上昇した影響も指摘されていたが、鉄鉱石や石炭相場などは比較的短時間で鎮静化しており、特に他素材市況からの支援も確認できない。明確な根拠なく急伸しただけに、このまま急伸が続いても、突然に根拠なく急落しても当然という極めて不安定な相場環境になっている。

 産地の集荷量は安定している。米国ではハリケーンが大きな被害をもたらしたが、東南アジアの気象環境は安定している。局地的な洪水被害は報告されているが、天然ゴム供給環境の目立った混乱は確認できない。潤沢な土壌水分環境を背景に増産プレッシャーが強く、タイ中央ゴム市場の集荷量も未燻製シート(USS)、RSSともに高水準で安定している。

 ただ、産地でも専ら上海ゴム相場の動向が注目を集めており、良好な供給環境を背景として売り圧力が強まるようなことはなかった。

 逆に、中国の8月製造業PMIが前月の51.4から51.7まで上昇し、製造業セクターの底固さを示したことも特に材料視されていない。現在の天然ゴム市場においては、需要・供給サイド双方の動きが材料視されていないことが確認できる。

 タイ、インドネシア、マレーシアの生産国会合が予定されており、輸出量規制の案なども各国から提示されている。ただ、ここ最近は生産国当局者も市況対策について殆どメッセージを出しておらず、マーケットの関心も高まっていない。上海ゴム相場の投機動向に左右される展開が続き易い。

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