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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、円安環境も、じり安の展開

連載 2024-04-22

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=310円水準まで下落した。上海ゴム相場が上値の重さを再確認する中、調整売り優勢の展開になった。為替は大きく円安に振れているが、為替要因で積極的に買い進むような動きはみられなかった。逆に大きく売り込んでいくような動きも鈍かったが、週を通じて薄商いでじり安展開になった。3月8日以来の安値を更新している。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元台中盤まで軟化している。4月10日には1万5,190元まで値上がりしていたが、本格的な反発フェーズへの移行に失敗し、3月下旬の価格水準に回帰している。中国国内の供給不安などを手掛りに買いが膨らんでいたが、1万5,000元台を維持するまでのエネルギーはなかった。

 中国の1~3月期国内総生産(GDP)は前年同期比5.3%増となり、一定の底固さを示した。市場予想4.6%増を上回っている。ただし、これは1~2月期の経済活動が活発化した寄与が大きいとみられ、3月の中国経済に対してはネガティブな評価が優勢になった。3月分の経済指標だと、固定資産投資が前年比4.5%増(市場予想は4.1%増)、鉱工業生産が4.5%増(同6.0%増)、小売売上高が3.1%増(同4.6%増)となっている。サプライズ感のある低調な数値という訳ではないが、中国経済の先行き不透明感を高める結果と評価されている。

 このため、上海ゴム相場は上値を攻めきれず、調整売り優勢の展開になっている。ただし、これも3月下旬の価格水準に回帰したのみであり、値下がりしたというよりもトレンド形成が拒否されたとの評価が求められよう。

 タイではソンクラン(水掛け祭)の連休が終わり、暦の上では乾季から雨季へ移行している。ただし、実際には降水量は抑制されており、乾季のピークを迎えている。また、タイ北部を中心にサマーストームが発生した状況にも変化はみられない。最高気温が40度を超える地域も少なくなく、タイ気象庁からは雷雨や強風、ひょうなどの天候不順で屋外での農作業に対して注意喚起が行われている。ただし、産地相場も供給不安の織り込みは一服させている。

 タイ中央ゴム市場(ソンクラン)の現物相場は、4月18日時点で前週比2.2%安の1キロ=82.00バーツとなっている。3月下旬には90バーツ台に乗せていたが、その後は値下がり傾向が維持されている。産地相場の底打ちを確認できていないことが、消費地相場の上値も圧迫している。為替市場では1ドル=154円台まで円安・ドル高が進行していることはポジティブ。一方、原油相場が調整局面入りしていることはネガティブ。

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