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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、産地相場主導で急落地合に

連載 2024-06-24

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=330円水準まで値下がりする展開になった。6月10日の360.90円をピークに調整局面入りし、19日安値は323.80円になった。5月22日以来の安値を更新している。4~5月は東南アジアの熱波を受けて供給不安を背景とした値上がり環境が続いていた。しかし、6月入りしてからは産地気象環境が安定しつつあることで、産地相場主導の値下がりになっている。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万5,000元の節目水準まで値下がりする展開になった。11日には年初来高値となる1万6,110元まで値上がりしていたが、19日には1万4,690元まで値下がりしている。ただし、1万5,000元割れには抵抗もみせており、総じて1万5,000元を挟んで売買が交錯している。

 タイ中央ゴム市場(ソンクラ)のRSS現物相場は、20日時点で前週比8.3%安の1キロ=75.07バーツと急落した。月初の段階では87.55バーツとなっていたが、18日の取引で80バーツの節目を割り込み、さらに大きく値下がりしている。

 今年の東南アジアでは、異常気象「エルニーニョ現象」が発生した影響もあり、4~5月にかけて厳しい熱波が報告されていた。各地で最高気温が40度を超え、天然ゴムの供給不安が著しく高まっていた。しかし、6月に入ると気温が落ち着きをみせ、供給不安の緩和・解消が進んだことが産地ゴム相場の急落を促している。

 依然として高温が報告されている地域もあるが、平年並みの気温に回帰しつつある。こうした中、ゴム相場の値位置は依然として極めて高値圏にあり、農家の生産・供給意欲が強くなっている。6月末にかけてタイ気象庁は豪雨発生の予報を出すなど、まだ気象環境が安定しているとは言い難い。ただし、最近の供給リスク後退が続いた場合には、産地主導の値下がり環境が続く可能性がある。このまま産地相場の値崩れが促されるのか、改めて供給不安の織り込みを迫られるような動きがみられるのかが注目される。

 需要サイドは、中国経済減速に対する警戒感が強い。6月17日に発表された中国の5月固定資産投資は前年同月比4.0%増(前月は4.2%増)、5月鉱工業生産は同5.6%増(同6.7%増)、小売売上高は同3.7%増(同2.3%増)となっている。タイヤ需要環境にも不透明感が高まっている。

 また、中国と欧州連合(EU)との間で貿易紛争が発生していることも警戒された。EUでは、政府補助を受けた安価な中国製電気自動車(EV)が市場を席巻していることに危機感が高まっており、追加関税を課すことが決まった。自動車市場の混乱が警戒されている。

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