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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、原油高でも横ばいが続く

連載 2026-03-23

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=370円を中心に売買が交錯する展開になった。イラン戦争で不安定なマーケット環境になったが、ゴム相場は明確な方向性を打ち出せなかった。原油相場の値上がり傾向が下値を支える一方、世界経済の減速懸念や株安が上値を圧迫し、強弱材料が交錯する中で方向感を欠く売買となった。

 上海ゴム先物相場は1トン=1万7,000元を挟んで売買が交錯したが、やや上値の重い展開になった。

 原油高の影響で上海ブタジエンゴム相場は1トン=1万5,000元台まで値上がりした。合成ゴムは、原材料価格の高騰に加えて、ナフサの供給不足で工場の操業率低下も報告されており、3月に入ってから急伸している。このため、天然ゴム相場も下値を支えられているが、大きな値動きには発展しなかった。

 イラン情勢がゴム需給、価格環境に及ぼす影響については不透明感が強い。原油高による合成ゴム高、インフレ懸念の高まりを重視すれば、値上がりが支持される。一方、地政学リスクの高まりや原油高、さらに原油供給障害が発生していることは、世界経済の見通しに対して下振れリスクとなる。すでに原油・石油製品の価格高騰や供給不足は広範囲にわたる産業に影響を及ぼしており、こうした状態が長期化すると、ゴム需要は悪化するリスクが高まる。

 米国とイスラエルが2月28日にイランに対する攻撃に踏み切って以降、中東情勢は不安定化しているが、先行き不透明感は強い。当初、トランプ米大統領は戦闘期間が4~5週間になるとの見通しを示していたが、その後は米国とイランの双方が停戦協議を拒否しており、どのような形で戦闘を終結させることができるのか、またホルムズ海峡の流通がいつ正常化するのかについても見通しが立たない状況にある。ゴム相場は原油高やインフレ懸念を手掛かりに上値を切り上げるのか、世界経済の減速懸念や株安で逆に下値を切り下げるのか、3月に入ってからは明確な評価を下すことができない状況が続いている。

 産地で減産圧力が強くなっていることが、引き続きゴム相場を下支えしている。4月に向けて一段と供給量が落ち込みやすく、年間で最も需給が引き締まりやすい時期を迎えている。例年と比較して、特別に厳しい生産環境ではないが、季節要因の下値サポートは維持されている。

 一方、為替相場は1ドル=159円水準までの円安・ドル高となっている。「有事のドル買い」が発生していることに加えて、エネルギー高による日本の貿易収支悪化リスクが警戒されている。円安環境は、円建てゴム相場を下支えした。

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