【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、約15年ぶりの高値更新
連載 New! 2026-05-18
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
OSE天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=410円台後半まで値上がりした。売買テーマが定まらず不規則な値動きとなったが、最終的には押し目買い優勢の展開が維持され、2011年4月以来の高値を更新した。原油高の影響は限定的だったが、非鉄金属など産業用素材市況の上昇、産地の天候不順などを手掛かりに上値追いの展開になった。
上海ゴム先物相場は1トン=1万8,000元台に乗せ、2024年12月以来の高値を更新した。最近の急ピッチな値上がりによる過熱感から調整売りが膨らむ場面も見られたが、押し目での物色意欲は旺盛であり、上値を切り上げる展開が維持された。
イラン情勢は引き続き先行き不透明感が強い。米国が和平合意に向けた「覚書」を策定し、イランが回答した。しかし、トランプ米大統領は「全く受け入れられない」として、停戦合意が危機的な状況だとの認識を示した。核問題を巡り、米国はイランに譲歩を迫ったが、イランは交渉議題ではないとの立場を崩していない。マーケットでは、ホルムズ海峡の開放が実現するとの期待感もあったが、それが失望感に変わったことが原油相場を押し上げている。ただし、原油相場とゴム相場との連動性は薄れ、原油相場を手掛かりとした積極的な売買は見送られた。
一方、5月に入ってから非鉄金属相場が総じて堅調な展開になったことはポジティブ。銅が過去最高値圏、アルミは4年ぶりの高値更新など、大きな値上がりが目立つ。中国の需要が想定以上に底堅いこと、精錬コストの高騰、人工知能(AI)関連需要の拡大期待などの影響が指摘されているが、いずれにしても非鉄金属市場に投機マネーの流入が活発化している。こうしたコモディティ市場全体の動向もゴム相場を押し上げる要因になった。
一方、産地気象環境の不安定化も警戒されている。時期的には減産期から生産期への移行が進むタイミングだが、タイなどで暴風雨が報告されており、タイ気象庁は農産物に対する洪水や鉄砲水の被害発生に注意を呼び掛けている。大規模な供給障害の発生が報告されているわけではなく、OSEゴム相場では、期近限月に対して供給リスクのプレミアムを加算する動きは限定的だが、投機買いが継続する一因になった。
為替相場が1ドル=155~158円水準でやや円安・ドル高に振れたことは円建てゴム相場にとってポジティブ。原油高が進行したこと、4月の米インフレ指標が市場予想を上回ったことが、米金利上昇・ドル高を促している。ただし、日本政府・日本銀行の円買い・ドル売り介入に対する警戒感も強く、大きな値動きには発展しなかった。
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