【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、産地主導で2カ月ぶり安値
連載 2024-07-15
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=315.50円まで下落して5月16日以来の安値を更新した後、320円台中盤まで下げ幅を縮小する展開になった。産地相場の急落を手掛りとした売り圧力が維持される中、消費地相場も下値模索の展開が続いている。原油相場の上げ一服感もネガティブ。ただし、日経平均株価の急伸や円安環境を手掛りに押し目買いを入れる動きも見られ、約2カ月ぶりの安値を更新しながらも、下げきれない展開に留まった。
上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元台後半まで下落している。産地相場の値下がりが続く中、1万5,000元水準を維持できずに5月16日以来の安値を更新している。
需要サイドの動向に対する関心は低いが、中国経済の減速懸念が蒸し返されていることには注意が必要。鉄鉱石や非鉄金属相場などが需要不安を織り込む動きをみせている。
こうした中、中国の6月新車販売台数が発表されたが、前年同月比2.7%減の255万2,000台となった。これまでは値引きによる需要喚起で販売が改善傾向にあったが、6月はその効果が薄れ始めている模様だ。前年同月比がマイナスになったのは4カ月ぶりになる。引き続き電気自動車(EV)を含む新エネルギー車の販売は好調だが、中国自動車市場全体では景気減速による国内消費鈍化が強く警戒される状況になっている。需要サイドの要因でゴム相場を押し上げることは一段と難しくなっている。
タイ中央ゴム市場(ソンクラ)のRSS現物相場は、7月11日時点で前週比4.7%安の65.12バーツとなっている。4日に70バーツを割り込んだばかりだが、10日には64.09バーツまで値下がりしている。世界的に気温上昇傾向が強くなっているが、東南アジアの気象環境は総じて平年並みの状態にあり、特に供給リスクを相場に織り込んでいくような必要性は見当たらない状況にある。高値から大きく値を崩しているとはいえ、依然として農家にとっては魅力ある価格水準であり、供給サイドの要因で産地相場は値崩れが続いている。タイバーツ高・円安が進んでいるため、バーツ建て産地相場と比較すると円建て相場の値下がり圧力は限定されるが、それでも下値模索の展開が維持されている。
これまで安値を拒否していた当限も、340~350円水準でのボックスから320円台後半まで急落している。これによって、当限から期中にかけてのサヤはおおむねフラット化している。産地相場安が続いた際に、当限安で順サヤ(期近安・期先高)に転換していくのか、それとも期先限月急落で改めて逆サヤ化を進めていくのかが注目される。
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