【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、330円水準での揉み合い続く
連載 2024-07-08
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=330円水準で揉み合う展開が続いた。産地相場は急ピッチな値下がりが続いたが、国内在庫の減少傾向や円安環境が下値を支え、明確な方向性を打ち出せなかった。
上海ゴム先物相場は1トン=1万5,000元の節目を挟んで売買が交錯する展開になった。産地相場の値下がり傾向が続いているが、1万5,000元割れからの値崩れに対しては抵抗がみられた。一方で、産地相場安を無視して買い上げるまでの勢いはみられず、6月下旬に続いて7月入りした後も明確な方向性を打ち出せていない。
中国の6月製造業PMIは、国家統計局発表で前月の49.5から変わらず、財新発表で同51.7から51.8まで小幅上昇となった。全体的に中国経済評価に大きな修正を及ぼすような内容ではなく、ゴム相場に対する影響は限定された。
タイ中央ゴム市場(ソンクラ)のRSS現物相場は、7月4日時点で前週比8.8%安の1キロ=68.33バーツと急落している。6月18日に80バーツを割り込んだばかりだが、そこから約2週間で早くも70バーツを割り込んでいる。なにか大きな動きが報告されている訳ではないが、東南アジアの天候リスクが軽減されていることが、産地相場の値下がりに直結している。季節的にも生産期から増産期へと移行が進みやすく、天候リスクが軽減されると増産圧力が強まりやすい時期になる。安定した供給環境が確保される一方、価格低下に伴う需要の急増といった動きはみられず、産地相場のダウントレンドが維持されている。
このため、本来だとJPXゴム先物相場は当限主導の値下がりが支持されるが、当限はボックス相場を踏襲している。350円水準に抵抗を受けて340円水準まで軟化しているが、産地連動で値を崩すことは拒否されている。JPX発表の生ゴム指定倉庫在庫は4月20日の9,416トンが直近の6月20日には6,926トンまで減少している。著しい在庫のタイト感までは認められないが、在庫減少環境で当限の値崩れが拒否され、それが期先限月の値下がり圧力も限定している。
もっとも、7月4日終値だと当限(7月限)と12月限の逆サヤ(期近高・期先安)は10.00円と、一時期の20円水準から大きく縮小している。徐々に逆サヤの過熱感は薄れており、期先限月の下落余地は拡大している。産地相場安との連動で当限が値下がりするのか、逆サヤ縮小で期先限月も値下がりするのかが焦点になっている。一方、原油高・円安環境はポジティブ。特にNY原油相場は2カ月ぶりの高値を更新しており、産業用素材市況全体を下支えする動きをみせていることは、ゴム相場も下支えした。
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