【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、株高一服で上げ一服
連載 2024-03-04
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=295~305円水準で高止まりする展開になった。日経平均株価が史上最高値を更新する動きと連動して、2月22日には2017年2月以来の高値となる307.50円まで値上がりした。しかし、2月末にかけては日経平均株価の急伸が一服し、つれてゴム相場も上げ一服となった。ただし、大きく売り込んでいくような動きはみられず、高値波瀾の展開になった。
上海ゴム先物相場は1トン=1万3,000元台中盤での保ち合いを経て、2月28日高値は1万4,030元に達した。こちらは過去3カ月にわたるボックス圏内での値動きだが、やや底固さが目立った。
大連鉄鉱石相場は中国経済の減速懸念を背景に上値の重い展開が続いているが、中国では3月5日に全国人民代表大会(全人代)が北京で開幕される予定で、なんらかの景気対策が打ち出されるのではないかとの期待感が相場を下支えした。また、JPXゴム相場が高値圏を維持したこともポジティブ材料視されている。中国経済の減速懸念を緩和させるような動きがみられるのかが注目される。
タイ中央ゴム市場(ソンクラ)のRSS現物相場は、2月29日時点で前週比0.9%高の1キロ=77.16バーツ。急ピッチな上昇に対しては一定のブレーキが掛かっているが、依然として水準を切り上げている。
タイ気象庁からは同国北部で嵐が発生し、農産物生産に影響が生じていることが報告されている。ただし、ゴムに関しては集荷量の大幅な落ち込みなどは確認できず、特に供給サイドのリスクプレミアムを加算するような必要性は高まっていない。タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムなどの降水量は落ち込んでおり、ウインタリング(落葉期)を迎えているが、供給サイドのリスク織り込みまでは求められていない。
実際にJPXゴム先物市場では当先のサヤがおおむねフラット状態にある。通常、供給リスクの織り込みが始まると逆サヤ(期近高・期先安)傾向が強まるが、そうした動きは確認できていない。こうした点からも、足元の需給ひっ迫化というよりも、日経平均株価の堅調地合にけん引されたゴム相場高環境との理解が妥当だろう。
日経平均株価とゴム相場とが強く連動する必要性は乏しいが、多くの市場参加者が日経平均株価の動向に売買の手掛りを求めている。このため、3月も日経平均株価の動向が重視されやすい。
JPXゴム先物相場2月限の受渡価格は304.50円となり、1月限の295.00円を9.50円上回った。2カ月連続の上昇であり、2023年10月限以来の高値になった。受渡高は122枚と2月限の162枚を下回った。
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