【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、下げ一服後は膠着気味に
連載 2024-04-08
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
JPX天然ゴム先物相場(中心限月)は1キロ=320~335円水準で揉み合う展開になった。3月18日の364.00円でピークアウトした後は26日の313.20円まで急反落していたが、下げ一服後は自律反発を消化した後、薄商いの持高調整に終始している。4月入りしてからは積極的な売買が見送られており、方向性を欠いている。
上海ゴム先物相場は1トン=1万4,000元台中盤をコアに揉み合う展開になった。中国経済に対する信頼感が高まるも、ゴム相場に関しては明確な方向性を打ち出せない展開になった。
中国の3月製造業PMIは2月の49.1から50.8まで上昇した。活動の拡大・縮小の分岐点である50を半年ぶりに上回り、2023年3月以来の高水準になった。中国景気の持ち直しを示唆する指標が目立ち始めていることは、ゴム相場に対してもポジティブである。しかし、非鉄金属相場などとは異なり、ゴム相場に対して本格的に買いを入れるような動きはみられなかった。
一方、NY原油先物相場は約5カ月ぶりの高値を更新している。中東ではイスラエルとイランの軍事衝突のリスクが急浮上する一方、ウクライナがロシアの製油所に対する攻撃を続けており、供給不安が高まっている。しかし、原油高を手掛りにゴム相場を買い進むような動きも鈍かった。
引き続きマーケットの関心は産地相場の動向に集中しているが、強弱評価が割れている。タイ中央ゴム市場(ソンクラ)のRSS現物相場は、4月4日時点で前週比0.4%安の1キロ=86.22バーツ。急ピッチな値下がり傾向は一服しつつあるが、改めて上昇を打診するような動きはみられず、方向性を欠いている。
価格急騰でRSSの集荷量が急増していたが、それを受けての価格急反落で集荷量も落ち込んでいる。このため相場は底入れ感を強めたが、改めて供給不安を織り込んでいくような動きまではみられなかった。
タイでは引き続きサマーストームが報告されており、最高気温が40度を超えている地域も目立つ。また、例年だと4月は減産期のピークであり、異常気象を考慮に入れなくても年間で最も供給量が抑制されやすい時期になる。しかし、産地相場は下げ一服感を強めながらも反発は見送る中途半端な値動きが続き、このため消費地相場も積極的に売買を仕掛け難い環境になった。ココアやコーヒー、パーム油などゴムと生産地が重複する複数の農産物価格が急伸しているが、ゴム相場に対して大きな影響を与えるには至らなかった。
ドル/円相場も1ドル=151円台で膠着化し、為替要因主導の売買も見送られた。
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