【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海ゴム主導でリバウンド
連載 2017-07-07
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=180―190円水準をコアとした保ち合い相場を経て、6月末にかけて200円台を回復する展開になった。
新規手掛かり難から極度の薄商いになる中、完全な膠着状態と化していた。修正高に一巡感が広がる一方で、改めて売り込むような動きは鈍く、上海・東京市場ともに明確な方向性を打ち出せなかった。
生産地ではゴム相場急落に対する悲鳴も聞かれ始めているが、天然ゴム市況に対する直接介入を検討するような動きは鈍い。また、産地の集荷量は今季最高水準を維持しており、売り渋りといった動きも確認できなくなっている。
ただ、相場の主導権を握っているのは引き続き上海ゴム相場の動向であり、6月末にかけては上海ゴム相場が安値からの切り返しを見せたことが、東京ゴム相場に対してもリバウンドを促している。
もっとも、天然ゴムの需給見通しに何か大きな変化が生じている訳ではない。中国市場では鉄鉱石や石炭相場などもリバウンドしているが、流動性環境にも大きな変化は確認できない。このため自立反発の可能性が高いが、1カ月にわたるボックス相場をブレイクしたことで、短期スパンではチャート主導の急伸が警戒される状況になる。
タイではゴム農家が市況対策を求める請願なども行っているが、現段階では在庫買い上げといった強力な施策が検討される状況にはない。当面の対応策として、農家に対する補助金交付やソフトローン提供が行われているが、これらの施策はコストラインを引き下げる結果、短期需給に対してはむしろ緩和圧力を発生させてしまうことになる。
東京ゴム市場では、当先の鞘が順鞘(期近安・期先高)化している。通常だと、年末に向けて増産期への移行が進むことで順鞘形成の必要性は乏しく、こうした点からも期先限月で投機買いが膨らんでいることが窺える。順鞘拡大圧力が続いている間は、投機主導の上値切り上げリスクが残る。
基調としてはあくまでも自立反発局面との評価になるが、急落後のボックス相場が長期化していただけに、チャート主導のリバウンド力がどの程度まで広がるのかを見極める局面になる。
なお、6月26日には東京ゴム先物の6月限が納会を迎えたが、納会値は194.60円となった。5月限の納会値290.00円から100円近い急落となっているが、これは5月限の納会値が異常だった結果だ。6月は国内倉庫への入庫増が報告されており、国内需給は安定化しているとの見方が支配的となっている。
(マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努)
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