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【特集】ゴム企業の環境活動・環境対応製品

イノアックコーポレーション、環境にやさしいものづくりが基本

工業用品 2017-07-07


U-ポリパイ


 イノアックグループは、環境問題への貢献として「クリーン素材」「リサイクル」「水環境」「農業・緑化」「再生エネルギー」「省エネルギー」「コンフォート」の7つのテーマに取り組んでいる。

 たとえば「クリーン素材」というテーマでは、同社が開発した新素材であるポリオレフィン発泡シート「FOLEC(フォレック)」が注目される。FOLECは同社独自の発泡技術により開発した微細セルの高機能なポリオレフィン発泡シート。通常、樹脂を発泡させるには化学物質である発泡剤を使用するが、製造過程と製造した製品から不快な臭いや汚染物質が発生するなどの問題があった。一方、同社が開発したFOLECは樹脂と空気中のCO2(二酸化炭素)のみで発泡させるため、臭いや汚染物質の発生もなく、環境にやさしくて、しかも安全で衛生的だ。

 FOLECは約10年の開発期間を経て、4年前に上市した。微細な独立気泡構造のため①断熱性、保冷性に優れる②低応力でソフト③高衝撃吸収性、透湿防水性④印刷、溶着等の加工性にも優れる。主な用途としては、クリーン性能が求められる食品トレイやボトルキャップのパッキン材などの食品関連や資材・梱包関連、衣料・手袋、シューズなどの衣料品関連、スマートフォン画面やPC画面の緩衝材等の情報機器・家電関連などが上げられる。機能性に優れた発泡シートとして、高い販売実績を持つ。

 「再生エネルギー」というテーマでは、地中熱交換パイプ「U-ポリパイ」を使用した「地中熱ヒートポンプシステム」が注目される。

 これは年間を通じて安定している地中熱を空調機の熱源として利用することを目的として開発された製品およびシステム。具体的には、深さ50-100メートルの、温度が15-16度で安定した地中に熱交換器となる「U-ポリパイ」を埋設し、夏は建物の熱を地中に放熱し、冬は地中から熱を建物の暖房に利用する。外気温に影響されず安定した空調運転が可能になるので消費電力が削減できるというもの。冬の暖房費用がかさむ寒冷地での採用が特に多く、空調の年間消費電力を3-4割削減できるという。公共施設や病院、高齢者施設、学校などへの採用が多く、累計約500件以上の導入実績を持つ。観光スポットとして有名な東京スカイツリーにも導入されている。今後は戸建住宅分野にも拡大していく計画だ。地中熱交換パイプの埋設方法は各種あり、①地中50-100メートル程の深さに専用の地中熱交換器を設置する「ボアホール方式」②建築物の基礎杭を利用することで設置費用の削減が図れる「杭利用方式」③地表から約1.5メートルの深さに地中熱交換器を水平に埋設し、面で採放熱する「水平埋設方式」④地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受賞した、地下水流速の豊富な深さ10-20メートルの浅層地中での熱交換量を向上させた螺旋状地中熱交換器「浅層埋設方式(スパイラルピラー)」などがある。

 「省エネルギー」というテーマでは、世界基準の高性能断熱材「イソシアヌレートフォーム」の開発が上げられる。同社の断熱材「サーマックス」(イソシアヌレートボード)はハイレベルな耐熱性と防火性、防湿性、断熱性を有し、不燃材料として国土交通省大臣認定を取得しているグレードもある。施工実績も豊富で、体育館やプール等の大空間天井や省エネ住宅、乾燥炉・発熱炉、屋上防水、工場設備などに多く採用されている。

 同社環境事業部の山中修事業部長は「当社は自動車から建築・福祉介護まで幅広く製品を供給しているが、その多くが何らかの形で環境に貢献している。また製造工程でも環境配慮を徹底して追求している。『環境にやさしいものづくり』『省エネ製品の開発』『リサイクル・リユースの推進』が、当社の環境活動の基本ポリシー」と語る。

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