技術力やブランド力生かせるセグメントで拡販へ
【新社長インタビュー】横浜ゴム社長山石昌孝氏、収益を伴った成長はかる
タイヤ 2017-07-10
3月30日付で、横浜ゴムの代表取締役社長に就任した山石昌孝氏。今年は横浜ゴムにとって、100周年という節目の年にあたる。「その年に社長の任を預かったことは、身の引き締まり方が違う。横浜ゴムとして、収益を伴った成長をしていきたい」と語る山石社長に、次の100年に向けた想いなどを聞いた。
■社長就任の抱負
環境変化が非常に激しく、特に自動車産業は自動運転やAIなど、大変革が起き始めている。そうした環境下で、また当社が100周年を迎えるという節目の年に、社長の任を預かったことは身の引き締まる思いだ。当社は産業車両用、農業機械用タイヤといった生産財タイヤを生産する「アライアンス・タイヤ・グループ(ATG)」を買収し、従業員数も2万5,000人を超えた。これだけの大企業の執行責任者として、任にあたる責任の重さをひしひしと感じている。まずは横浜ゴムとして、収益を伴った成長をしていきたいと考えている。
■横浜ゴムの位置づけ
当社は売上高でみれば世界で8位。下からの追い上げを受け、追い抜かれた部分もある。ただ、ATG買収などを契機に今後は上位に追いついていこうと思う。一方の技術面は、例えばプレミアムカーのOE装着という観点でみると、ここに納入できているのは世界でも僅かであり、また市販用レースタイヤを世界で供給できるのも僅かで、当社はその両方ができている。売り上げ規模では世界8位だが、技術力では上位にいると捉えている。
■GD100の最終年度
今年は中期経営計画「GD100」の最終年度にあたる。外部環境の変化により、当初掲げていた数字には及ばないが、まずは今期の目標値として公表した売上高6,600億円、営業利益475億円、経常利益435億円、当期純利益300億円の達成に全力を挙げたい。100周年に未達というわけにはいかない。第1四半期の業績は、目標を達成できた。上期、通期でも目標を達成できるよう、頑張っていく。市場をみると、日本は予定通りに推移しており、中国は好調だ。中国ではOE向けの販売が多いが、日本のカーメーカーのSUV販売が伸びるなど、当社の強い領域が伸びている。中国は一番伸ばしていく市場で、現在計画している蘇州工場の増強をいまは粛々と進めている。北米も悪くない。欧州もサッカーのチェルシー効果で良い状況だ。総じて対前年で順調にきているのではないか。来年度以降の次期中期経営計画については、いま策定している最中だ。方針などを固めた上で、来年2月の決算発表時に公表する考えだ。
■次の100年に向けた想い
業界で何位を目指すということは言わないが、少しでも会社を良くしていきたい。そして、それが次に繋がると思っている。収益を伴った成長に向け突っ走っていきたい。次期中期経営計画も、全ては収益を伴った成長のために打ち出す手だと考えている。次世代に向け、良いものを残していきたい。横浜ゴムらしさは残しつつ、チャレンジしていかなければならない。ATGの買収などは、まさに大きなチャレンジだった。当社はこれまでも様々な手を打ち、少しずつ成長してきた。しかし、いまは当社がこれまで弱かった産業車両用タイヤ、農業機械用タイヤの領域でも伸ばしていこうとしている。これにより「会社が前に進んでいくぞ」とのメッセージを社内外に発信できたと考えているし、こういうチャレンジ精神を乗用車用タイヤやトラック・バス用タイヤ、そしてMB事業にも波及していければと思う。MB事業はある領域においてかなり伸びている。その部分には投資していく考えだ。選択と集中で伸ばしていく。MB事業についても、伸びる領域をきっちりと伸ばしていき、成長の起爆剤にしていきたい。
■今後のタイヤ業界
この10年、タイヤ業界では韓国、中国メーカーの台頭が著しい。特に中国はタイヤメーカーが国から手厚い支援を受けていると言われており、資本主義とは全く違う世界だ。そういう国のメーカーがタイヤを生産し、世界を席巻しつつある。中国はいま、世界最大のトラック・バス用タイヤの供給源で、乗用車用タイヤについても中国から世界にどんどん輸出されている。これが世界のタイヤ業界の現状だ。ただ、ありがたいことに、ここ15年ほどでみてもリーマン・ショック時を除いて、世界のタイヤ産業は1-3%の成長率で来た。つまりタイヤ産業は、マクロ的にみると成長産業と言える。市場が拡大すれば様々なセグメントが出現する。そして、その中には当社が狙うべきセグメントが出てくる。当社の技術力やブランド力が生かせる、そういうセグメントで拡販していきたいと考えている。
【山石社長の趣味】「趣味は読書とワイン」と迷うことなく答えが返ってきた。ビジネス書を読み、イタリアワインを楽しむ。トスカーナ地方の赤が好みだそうだ。
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