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連載コラム「白耳義通信」63

「ベルギーのプレゼント習慣」

連載 2021-12-24

鍵盤楽器奏者 末次 克史

 クリスマス前の最後の土曜日、街は大勢の人で賑わう予定だったのが、オランダでは爆発的にオミクロン変異株が拡大し、遂にはロックダウンが再開されることになりました。隣国ベルギーでも「オランダ、ロックダウンに突入!」と大きく報道され、人の流れにも影響が出始めています。

 それでも一年で一番の書きいれ時であるクリスマス商戦を考えてか、ベルギーに於いてはクリスマスが終わった12月26日から保護措置を強化することになりました。内容は、屋内・屋外のイベントが禁止されたり、観戦なしのスポーツ大会が義務付けられたり、買い物は最大2名で行うなどです。協調委員会は、2022年初頭までに、ベルギー国内におけるコロナウイルスが、オミクロン変異株で支配されるだろうと見ています。

 さて、日本で年末に贈られるお歳暮の習慣は、年々廃れてきているのでしょうか。それでも百貨店などに行くと、お歳暮コーナーが設けられているのを見る限り、小売店側はまだまだ力を入れたいところなのでしょう。

 ベルギーで年末に贈り物といえば、クリスマスプレゼントですが、これはあくまでも身内に向けたもので、お世話になった方々に何か贈るということはありません。そもそもプレゼントも、小売店が用意したギフトセットなるものもありません。強いて言えば、チョコレート店で予め用意された詰め合わせセットくらいのものでしょうか。

 日本で誰かにプレゼントとなると最低でも 3,000円から 5,000円といったところが相場のようですが、ベルギーでは、もう着なくなった服をあげたり、安いワインだったり、ちょっとした心遣いの感覚が近いように思います。

 依然、ベルギーで友達から「プレゼントがある」と言われ喜んでいたところ、セールで買ったベストを渡してくれたと同時に「はい、10ユーロね」と言われた時には唖然として、人間関係がギクシャクしそうになったことがあります。ですが、よくよく話を聞いてみると「必要そうだと思ったから」と言われ、形はどうあれ、相手のことを考えて何か贈るというのが、日本との大きな違いかと思います。それでも未だに釈然としてはいませんが…

 そうは言っても、知らず知らずの内にオミクロン株の媒介者になることも考えられるわけで、たちの悪いプレゼントをしない為にも、まだまだ外出は控えなければならないのでしょうね。

 Joyeux Noël et Bonne Année!
 Prettige kerstdagen en Gelukkig Nieuwjaar!

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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