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連載コラム「白耳義通信」58

「目まぐるしい7月」

連載 2021-07-21

鍵盤楽器奏者 末次 克史

 隣国オランダでは、先月26日から 1.5メートルのソーシャルディスタンスや手洗いの義務を除けば、社会生活はほぼコロナ以前のものに戻ったかにみえました。しかし今月10日には、感染者数が1万人を超える事態となり、ルッテ首相が新型コロナウイルス感染拡大抑制策を早期に解除し、感染が再度急拡大したことについて謝罪する羽目に。

 ベルギーでも先週と比較して86%増(7月16日発表)となり、新規の規制は発令されてないものの、夏休みが始まり、バカンスでの人の移動によって、感染が更に拡大するのではないかと不安視されています。

 昨年春から続くコロナ禍にあって、明るい希望をもたらしてくれたのがベルギーサッカーチーム。本来なら昨年行われる筈だったUEFA欧州選手権(通称ユーロ2020)が、コロナのせいで今年に延期。前回優勝のポルトガルに勝利した際は、「これで優勝も決まった!」と大騒ぎ。しかし、今回優勝したイタリアに破れ、8強に終わりました。FIFA 世界ランキングでは1位なのですが、大きな大会ではなかなか結果をだせずにいるベルギーチーム。ワールドカップに期待です。

 普段サッカーを見ない人もテレビに釘付けになってから二週間後。今度は信じられない光景を目の当たりにすることになりました。日本でも熱海市の集中豪雨における映像に衝撃を受けたばかりですが、ベルギーをはじめ、隣国ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、更にはオーストリアに於いて洪水が発生。

 ベルギーを流れるムーズ川(Meuse/Maas)流域で高さ2mもの濁流が街を襲いました。現在は水位が下がり始めているものの、行方不明者が依然103名に及び、避難勧告が出ています。住民は泥や瓦礫に覆われた家屋や市街地の片付けに取り掛かっているところですが、甚大な被害には言葉を失うばかりです。

 ベルギーでは日本のような梅雨はありません。日本でもここ数年の梅雨の時期は、しとしとと長雨が続くというより、局地的な大雨が降る傾向が強いように思いますが、このような豪雨は地球温暖化がもたらしているのでしょうか。

 さて、23日には東京2020オリンピックが開幕します。ベルギーはリオ・オリンピック女子7種競技で金メダルを獲得したナフィ・ティアム(Nafi Thiam)選手と男子フィールドホッケー代表フェリックス・デナイヤー(Felix Denayer)選手の二人が騎手を務めることになりました。入場は五十音(あいうえお)順とのことですから、ベルギーは真ん中辺りに登場でしょうか。是非、注目してください。

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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