連載コラム「白耳義通信」57
「ベルギーのリニアモーターカー?」
連載 2021-06-18
鍵盤楽器奏者 末次 克史
6月13日から16日に掛けて、米国バイデン大統領が来訪したベルギーです。NATO首脳会合に参加したり、EU 首脳会談と多忙な日程の中、王宮を訪れ、フィリップ国王とも会談。ふと、歴代アメリカ大統領が来白した際、ベルギー国王を表敬訪問していただろうか、頭をよぎりました。
バイデン大統領がベルギーを訪れた10日前の6月3日、EUの域外国境制限解除対象国リストに日本が追加されました。しかし、ベルギーにとって日本は依然としてレッドゾーンの為、日本からの渡航には、渡航者位置特定フォーム(PLF)の記入や、出発前のPCR検査(出発前72時間以内に実施する要あり)が必要のようです。
先日は、ベルギー国籍を持たない私にも、ワクチン接種の案内がフランダース政府から届きました。これは ID カードに紐付けてあるメールアドレス宛にきたもので、1回目と2回目の接種日、ワクチンの製薬会社名が書いてあり、都合の悪い場合は、リンク先、または専用電話に連絡することになっています。
日本では、自治体によって、ワクチンの予約がなかなかできないこともあるようですが、ベルギーではスムーズにワクチン接種が進んでいるようで、先週からは31歳以上の予約も可能となりました。これは日本に比べて人口が約1割のベルギーだからこそ、できたことなのでしょうか?
さて先日、ベルギーに於いて未来型輸送手段の計画が持ち上がりました。現在首都ブリュッセル(Brussel / Bruxelles)とアントワープ(Antwerpen)間は、電車で約30分掛かりますが、それをなんと6分で結ぶというものです。日本では、2027年に超電導リニアモーターカーで東京 - 名古屋間が開通予定とも言われていますが、ベルギーでは、まだ実験段階のようです。
ベルギーでのそれは、ハイパーループ(Hyperloop)という輸送方式で、簡単に言えば「真空列車」。時速 1,000km、最大60人乗りと想定されています。投資コストは約33億ユーロ。日本円にして約4,500億円。ブリュッセル - アントワープ間以外にも、フランダース地域や、パリ、アムステルダム、ミラノも視野に入れているようです。
実現すれば、飛行機より環境に優しい乗り物になるのでしょうが、60人しか乗れないとなると、「金持ちのおもちゃになるのでは?」と言われる始末。もし自分が乗れたとしても、電車の中での貴重な読書時間が奪われる方が心配です。そんなに急いでどこに行く?
【プロフィール】
末次 克史(すえつぐ かつふみ)
山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。
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