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【マーケットアナリティクス】

中国政策リスクでじり安

連載 2021-06-21

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1㎏=230円台中盤まで小幅下落する展開になった。6月入りしてからは240円水準で揉み合う展開が続いていたが、上海ゴム相場の上値の重さが嫌気されている。

 為替は円安気味に推移し、原油相場は2018年10月以来の高値を更新しているが、戻り売り優勢の展開が維持された。ただ、売買は極端な低迷状態に陥っており、積極的に売り込むような動きまでは見られなかった。

 上海ゴム先物相場は、1トン=1万3,000元水準を完全に下抜き、1万2,000元台後半での取引になっている。改めて年初来安値を更新する展開になっている。中国市場ではインフレに対する警戒感が根強く、インフレ対策で政府が政策引き締めに踏み切るのではないかとの観測がくすぶり続けている。コモディティ価格統制の動きが一段と強化されるリスクも警戒されている。

 鉄鉱石や石炭相場は改めて騰勢を強め始めているが、銅やゴム相場は上値の重さが目立つ状況になっている。中国コモディティ市場内でも、中国政府の政策リスクに対する対応は割れているが、上海ゴム相場は売り優勢の地合が維持されており、底打ちを確認できていない。次は1万2,000元の節目でのサポートの有無が問われる。

 中国の5月新車販売台数は前年同月比3.1%減の212.8万台となった。前年同月比でのマイナスは1年2カ月ぶりのことになる。昨年5月が中国におけるパンデミック収束の反動で良好な販売環境になった影響も大きいが、中国汽車工業協会からは4月に続いて5月も半導体不足が自動車生産の制約条件になっていると報告されている。6月も混乱が続き、改善がみられるのは7~9月期以降になるとの見通しが示されている。

 世界的に中古車市場が活況を呈しているため、タイヤ需要環境に対する影響は限定的との見方もある。ただ、プラチナなど自動車産業との関係性が深い他のコモディティを売り込む動きが観測されており、ゴム相場の上値が圧迫されている一因と評価されている。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、6月17日時点でUSSが前週比3.6%安の1㎏=58.51バーツ、RSSが同3.6%安の60.46バーツ。USSが60バーツの節目を割り込んだが、産地集荷環境に大きな動きは見られない。例年よりも乾季から雨季への移行がやや遅れたが、6月入りしてからは台風の影響もあって、土壌水分環境は安定している。ただ、産地主導の価格形成は見送られており、専ら上海ゴム相場の動向に一喜一憂する展開が繰り返されている。

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