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連載コラム「白耳義通信」61

「カボチャ選手権」

連載 2021-10-21

鍵盤楽器奏者 末次 克史

 日本ではすっかり定番化した感のあるハロウィン。毎年10月31日に行われます。1990年頃からコンビニエンスストアの棚に並ぶようになり、その後はイベント後のゴミ問題がニュースになるほど、大イベントに成長。コロナ禍の去年はヒッソリしていましたが、今年はどうなるのでしょうか。

 ベルギーではハロウィン前に、店はハロウィン仕様になったり、当日には個人でパーティを開いたりしますが、アメリカのように子供たちがお菓子の袋を持って近所を巡る姿はあまり見ません。どちらかというと子供が主役になるのは復活祭という印象があります。

 そのハロウィンに欠かせないのがカボチャ。スーパーには食用ではなく、ハロウィンのためのくり抜き用カボチャがドドドーンと並んでいます。この時期、玄関先に置かれた「カボチャお化け」が来客者を睨んでいます。今月はそんなカボチャの話。

 ベルギーでは毎年10月になると、カボチャ選手権なるものが開かれるらしい。「らしい」と書いたのは、20数年になるベルギー生活で、このことを知ったのは初めてだからです。開かれるのはアントワープ(Antwerpen)から東へ50kmに位置するカステルレー(Kasterlee)という小さな町。

 今年のベルギー選手権で優勝したのは、カステルレー在住のマリオ(Mario)さん。なんと1,106kgという巨大カボチャです。幅3m56、胴回り5m42。この巨大カボチャを育てあげるには、少量の水と十分な肥料が必要とのことですが、肝心の肥料については企業秘密とのことで教えてくれませんでした。

 この巨大カボチャを引っ提げて、ドイツのルドヴィッヒスブルグ(Ludwigsburg)で開かれたカボチャ欧州選手権に乗り込んだマリオさん。上には上がいるものですね。マリオさんのカボチャより100kg重い超巨大カボチャを育て上げた、イタリアのステファーノさんに惜しくも及ばず2位に。因みに3位にはフランスのメディさんが作った983kgのカボチャが入りました。

 話によれば、去年もステファーノさんのカボチャの前に涙をのんだようで、今頃は来年の雪辱に燃えていることでしょう。商品とし売るためではなく、一見おかしくもみえることに一所懸命になる姿に感動すら覚えました。

 最後にマリオさんがおススメするカボチャ料理を紹介します。「普通」サイズのカボチャを切り抜き、くり抜いたカボチャをさいの目切りにし、合いびき肉と混ぜた後、くり抜いたカボチャに戻します。オーブンで焼くこと20分で完成。味付けは適当で。そこは教えて欲しかった!

 西洋カボチャは甘みがありホクホクしているので、あっさりした味でねっとりしている日本の南瓜が合うかどうかは…

【プロフィール】
 末次 克史(すえつぐ かつふみ)

 山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。

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