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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、デルタ株警戒で上値重い

連載 2021-07-26

マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
 JPX天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=205~220円のレンジで揉み合う展開になった。7月15日に年初来安値更新となる205.30円まで急落していた反動から、一時210円台後半まで切り返していた。しかし、その後は改めて戻りを売られる展開になり、年初来安値圏での取引が続いている。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大、原油など素材市況の急落、中国経済の減速懸念、チャート環境の悪化などが、上値を圧迫している。

 上海ゴム先物相場も1トン=1万3,685元まで安値修正を進めて5月31日以来の高値を更新した後、1万3,000元の節目を割り込む不安定な値動きになった。素材市況全体の値下がりで約2週間ぶりに1万3,000元の節目を割り込んだが、同水準からさらに大きく値を崩している訳ではなく、最近のボックス圏内での値動きに留まっている。

 新型コロナウイルスの感染拡大の脅威が、素材市況全体の地合を不安定化させている。従来からアジア・オセアニア地域で感染が拡大していたが、欧米でも新規感染者数や死者の増加が報告されている。感染力の強い「デルタ株」が広がりを見せており、米国の場合だと、主にワクチン未接種者の間でパンデミックが発生する兆候が増えていると報告されている。現時点では主要消費国である中国で大規模な感染被害は報告されていないが、先行き不透明感の強さが警戒されている。

 特にNY原油先物相場は月初の1バレル=75ドル水準に対して、60ドル台中盤まで急落しており、これが天然ゴムも含む幅広い素材市況を押し下げている。

 ロックダウン(都市封鎖)など行動規制強化の動きが世界的に広がりを見せると、タイヤ需要環境にも大きな影響が生じる可能性があり、ゴム相場の上値の重さが目立つ状況になっている。

 一方、天然ゴムの主産地である東南アジアでは各国で行動規制が強化されており、農産物の生産や輸送、出荷などへの影響が警戒されている。ただ、現時点ではタイ中央ゴム市場の集荷量は安定しており、現物相場も今季最安値を更新する展開になっている。7月20日時点でUSSが前週比3.7%安の1キロ=48.29バーツ、RSSが同5.9%安の50.36バーツとなっている。産地主導で安値修正を進めるような動きはみられず、逆に消費地相場の値下がりを追認するような動きが目立つ。

 今後はさらにパンデミックが深刻化すると、供給サイドからのリスクプレミアム加算を迫られる可能性もあるが、JPXゴム先物相場は順サヤ(期近安・期先高)傾向にあり、期近限月に対する供給リスクの織り込みは確認できていない。

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