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連載「つたえること・つたわるもの」(85)

令和の〈えんどう豆〉、どんどん発芽・成育中! 〈教育講演〉その3

連載 2020-03-10

出版ジャーナリスト 原山建郎

◆患者の心理を学びながら、傾聴ボランティアをめざしてください
 讀賣新聞の連載エッセイ「患者からのささやかな願い」に読者から大きな反響があり、遠藤さんは再び讀賣新聞にエッセイ「心あたたかな病院」を寄稿した。

 病人の愚痴や嘆きを、じっと「聞いてあげる」ボランティアになってくださる人はいませんか(男、女を問いません)。しかしこれは多少の勉強がいるので、そのことをお含みください。この試みは試行錯誤なので色々、研究しながら改めていかねばならぬものですから。

 1982年5月、遠藤さんの呼びかけで集まった6人の主婦を中心に「患者の愚痴や嘆きに耳を傾ける、病院ボランティア」をめざす遠藤ボランティアグループが誕生した。初代代表には遠藤さんが就任。ボランティアを受け入れてくれる病院の選定・交渉、病院ボランティアの教育などの実務作業は、ソーシャルワーカーの奥川幸子さんが担当。当時、健康雑誌の編集者だった原山は、遠藤さんから「顧問」を命ぜられ、13年前からは遠藤ボランティアグループの代表を務めている。遠藤さんは「智慧のない善意は、相手の心を傷つける」という河合隼雄さん(ユング派の臨床心理学者)の助言を受けて、同グループの会合で「ボランティアグループの皆さんは、医療や介護、心理学の専門家の話を聞いて、患者の心理を学びながら、傾聴ボランティアをめざしてください」と強調された。38年が経過した現在も、年に数回の講座(勉強会)に専門家を講師にお招きし、「学びながら、活動する」グループであり続けている。

 のちに、遠藤さんは病院ボランティア活動を提唱する自分の役割について、私たちの会合に出席された折、「ボランティアの皆さんの踏み石になりたい」と語っておられた。はじめのうちは、不安定でグラグラしていても、たくさんの人々が踏んでくれて、そのまわりに新たな踏み石を置いていけば、やがてしっかりしてくるというのだ。

 「捨て石にはなりたくないが、踏み石には喜んでなろう」

 結核の手術で片肺と7本の肋骨をとられ、73年間の人生を肝臓病、糖尿病、腎臓病などの慢性病に苦しめられてきた遠藤さんの〈いのち〉のことばは、いまでも私の耳朶の奥でやさしく響いている。

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