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連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」②

中国のゴム製品は再生ゴムだらけ

連載 2016-12-12

加藤事務所代表取締役社長 加藤進一

 日本の天然ゴム消費量は年間約70万トン、合成ゴムの消費量は約90万トンと言われています。中国の天然ゴム消費量は2015年は年間約480万トン、合成ゴムの消費量が約410万トン、そして再生ゴム(粉末ゴムを含む)の消費量が年間約300万トンです。日本の再生ゴムの消費量は年2万トンぐらいですので、中国は莫大な量の再生ゴムを製造し、使用しているのです。大雑把にいうと、中国ではゴム材料でいわゆるゴムポリマー分の1/3は再生ゴムです。再生ゴムは廃タイヤから製造しますので、正確に言うとゴム分はそのうち40%ぐらいかもしれませんが。

 どうして中国はこんなに再生ゴムをたくさん使用するのでしょうか?理由はいくつかあります。

 ①安いから。そうです。中国の再生ゴムはだいたいkgあたり¥80ぐらいで、天然ゴム¥200/kg、合成ゴムSBR,BRが¥200/kgに対してかなり安く、再生ゴムを混ぜるとゴム原料の平均コストが安くなります。

 ②天然ゴムの中国国内の生産量が中国の需要に対して少ない。不足しているのです。天然ゴムの産地は東南アジアのタイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアが中心で地理的に中国は北にあり、中国では一番南の地域(雲南省と海南島)で天然ゴムを生産していますが、これ以上北の地域で生産を増やすことができません。気温が低すぎるのです。よってその不足分を再生ゴムで補っているとも言えます。

 ③再生ゴムやゴム粉を混ぜると一般的にゴム物性(強度、耐摩耗性、耐熱性)が悪くなります。再生ゴムを作るときに、廃タイヤをチップ状にしてゴムの架橋ネットワークを熱で切断し、分解しますが、これはゴムを老化していることになります。それが再度ゴム加硫、架橋をするときには完全にもとに戻りません。またゴム粉は加硫できませんので、加硫ネットワークの中では異物になってしまいます。しかし中国ではゴムに対する物性要求があまり高くないので、物性が悪くても、ゴムであればいいやという考えが一般的です。タイヤでも保証期間が1年間だけ、場合によっては3か月間だけという格安タイヤの市場、要求もあります。その分野のタイヤにはタイヤ再生ゴムがたくさん使われています。年間300万トンのうちタイヤには年60万トンぐらいが使われています。

 ④再生ゴムメーカーの数が多い。日本では再生ゴムを製造している会社はM社、A社、D社、T社、I社、H社、A社と7社程度ですが、中国では200社はあります。そこら中に再生ゴム工場があります。

 ⑤再生ゴム産業、学術研究が盛んです。中国ゴム工業会の中に、廃ゴム総合利用分科会があり、その再生ゴムとしての新技術の開発、環境に悪い再生オイルを使用せずに再生ゴムを製造する方法(環境適用再生ゴム)の普及、新しい再生ゴムの製造方法の開発と、有名大学のゴム学科と組んで、研究開発が進んでいます。この点は日本より確実に進んでいます。市場の要求があるからでしょう。

 このように中国では再生ゴムとゴム粉をよく使い、配合も再生ゴムを入れることが普通に、行われています。当社に中国ゴム産業界が発行したゴム配合ハンドブックがありますが、そこには推奨ゴム配合として1000種類以上の配合表が載っています。かなりの配合(特にSBR,BR、天然ゴムの配合)には、再生ゴムが基本配合材料にして入っています。ゴムポリマーの1/3が再生ゴムですから、当たり前なのです。

 再生ゴムが入ったゴムはやや臭います。再生ゴムに添加する再生オイルの臭いです。石油樹脂の臭い、コールタールに近い臭いです。よく中国製のゴム製品で、一般工業用ゴム製品で、臭いがきついものがありますが、これが再生ゴムが入っている証拠です。よくゴム製品はその販売価格の1/3が原料ゴムの材料費だと言いますが、中国製ゴム製品が安いのは、加工費が安い(人件費が安い)からだと言いますが、最近は人件費もそれほど安くはありません。(たぶん中国の工業地帯では労賃が月3万円から4万円ぐらいでしょう。ちなみにベトナムは2万円強です。先週カンボジアのゴム関係者に会いましたが、カンボジアでの労賃は月$150、1.5万円だと言っていました)。それにしても中国のゴム製品は安いという場合には、ゴム材料に再生ゴムが含まれている可能性が大でしょう。

 このように中国のゴム製品にはタイヤを含め再生ゴム、ゴム粉末がなんでも入っていると言っても過言ではありません。中国の再生ゴム産業について加藤が日本ゴム協会誌2014年7月号に総論として論文を載せております。世界で再生ゴムをたくさん使用している国は中国が一番で二番目がインドです。欧米ではほとんど再生ゴムは使用されていません。米国には再生ゴムメーカーが存在していないほどです。中国のある意味での強さはこんなところにもあるのでしょう。

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