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連載「つたえること・つたわるもの」(68)

「く」のからだを「あ」のからだに開く、ため息健康法。

連載 2019-06-25

「ため息健康法」かんたんレシピ

【用意するもの】
 きょうあったいやなこと(苦悩・憂鬱・心配)盛り合わせ。根を詰めて溜めた息、ぬるめのお湯をたっぷり張ったバスタブ(湯ぶね)。就寝前の疲れたひととき。ひとりの時間。

【正しいため息のつき方】
① からだをていねいに洗って一日の垢を流し、ぬるめの湯にゆったりつかる。

② いやなことを全て思い出す。息は鼻から吸って、めいっぱい溜めておく。

③ 溜めた息が苦しくなったら、そこで口から「ハアーッ」と大きなため息を吐きながら、一気にからだをゆるめ(瞬間脱力)ながら、「あーあ、いい気持ち、ごくらく、ごくらく」と呪文を唱え、ゆるんだからだの感覚を気持ちよく味わう。

④ ②~③を何セットか繰り返す。からだをゆるめる「」(ゆったり、ゆるむ)、こころをほぐす「」(ほかほか、ほぐれる)をイメージしながら、ゆるんだあとの余韻を楽しむ。

⑤ 就寝前に手足を伸ばしてため息をつき、「あーあ、いい気持ち」と唱えてから眠れば、睡眠中に美容健康ホルモンが湧いてきて、その若返り効果は朝まで持続する。

【ため息健康法のポイント】
 ため息健康法には、3つのポイントがある。

① 「ため息健康法」は、ひとりで行う。他人がつく「ため息」はあまりよいイメージを与えないので、就寝前の疲れたひととき、お風呂にひとりで入って、思う存分、ひとりで「ため息」をつくこと。

② ため息をついたあとで、「あーあ、いい気持ち、ごくらく(極楽)、ごくらく(極楽)」と声に出して唱えること。からだが充分ゆるんで、こころがほぐれた心地よさを、明るい言葉に出して味わい、確認する。これが「正しいため息」のつき方である。間違っても、「♪あ~あんあ やんなっちゃった あ~あんあ おどろいた」と唱えるべからず。漫談ならよいが、健康法では「悪いため息」である。

③ 「ゆ(yu)」と「ほ(ho)」の音の響きを手がかりに、「ゆ」のからだ、「ほ」のからだを、全身でパフォーマンス(表現)する。まず、「ゆ」のからだを表現するには、ひらがな「ゆ」のオノマトペ(擬態語、擬声語)、ゆれる・ゆるゆる・ゆったり・ゆっくり・ゆらゆら・ゆうぜん・ゆるむ・ゆるす、などを声に出して唱えながら、からだをゆらゆら、ゆらしてみる。次に、ひらがな「ほ」のこころを表現するには、ひらがな「ほ」のオノマトペ、ほかほか・ほくほく・ほろほろ・ぽかぽか・ほのぼの・ほれぼれ・ぼうぜん・ほぐす、などを声に出して唱えながら、こころをほのぼの、ほっとしてみる。

 液体的な響きの「ゆ(湯)」は「温(あたた)かく」、気体的な響きの「ほ(火)」は「暖(あたた)かい」と書くように、身(からだ)も心(こころ)もあたたまり、たのしい「あ」のからだとなる。

 ゆるみ・ほぐれた「あ」響きからは、「よろこび」のオーラ(喜びの気)が立ち昇る。午後の授業は、欣喜雀躍(雀がぴょんぴょん踊るように跳ねて喜ぶさま)、喜色満面(喜びが心の中に包み切れず、顔じゅうにあふれ出ているさま)という言葉のように、配布資料の「喜(き)尽くし」を全員で唱和して、終了。

よろこべば よろこびごとが よろこんで/よろこび あつめて よろこびにくる

よろこべば よろこびごとが よろこんで/よろこび いさんで よろこびにくる


【プロフィール】
 原山 建郎(はらやま たつろう) 
 出版ジャーナリスト・武蔵野大学仏教文化研究所研究員・日本東方医学会学術委員

 1946年長野県生まれ。1968年早稲田大学第一商学部卒業後、㈱主婦の友社入社。『主婦の友』、『アイ』、『わたしの健康』等の雑誌記者としてキャリアを積み、1984~1990年まで『わたしの健康』(現在は『健康』)編集長。1996~1999年まで取締役(編集・制作担当)。2003年よりフリー・ジャーナリストとして、本格的な執筆・講演および出版プロデュース活動に入る。

 2016年3月まで、武蔵野大学文学部非常勤講師、文教大学情報学部非常勤講師。専門分野はコミュニケーション論、和語でとらえる仏教的身体論など。

 おもな著書に『からだのメッセージを聴く』(集英社文庫・2001年)、『「米百俵」の精神(こころ)』(主婦の友社・2001年)、『身心やわらか健康法』(光文社カッパブックス・2002年)、『最新・最強のサプリメント大事典』(昭文社・2004年)などがある。

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