連載「つたえること・つたわるもの」(59)
コントロールドラマ、愛情という名の支配欲依存症。
連載 2019-02-12
虐待死の主犯である父親には、「しつけのためなら、何をしてもいいわけではない。娘は父親の所有物ではない」「しつけという名の暴力をふるった父親は絶対に許せない」などの声があがっている。また、母親に対しても、世間(マスコミやツイッター)は、「夫の暴行を身を挺して止めなかったのは、虐待と同じ」「父親に暴力を受け、学校にも見放され、娘が頼ることができたのは母親だけだったのに」「命がけで娘を守るべきなのに、自らの安全を優先した。母親の愛はないのか」などと非難している。
10歳の娘の命を無残に奪った父親は、もちろんその罪を償わなければならない、と思う。そして、日常的な夫の虐待を知りながら止めなかった母親もまた、夫からDVを受けていた被害者だったとしても、その罪を免れることはできない、と思う。また、少女は発したSOS(「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」)を放置した小学校の担任教師や校長、父親の剣幕に屈してアンケートのコピーを渡した教育委員会、一時保護を無謀にも介助した児童相談所の責任もかなり重い、と思う。
事件の聞き取り調査後、大口善德厚生労働副大臣は「児童相談所に警察OBに(職員に)なってもらうとか、兼務も考えていかないといけない」という内容の談話を発表している。最低限、子どもの命を守るための対処療法として一定の効果はあるだろうが、何ら本質的な解決策とはならないように思う。
この問題を考えるひとつの手がかりとして、今回のケースを、やはり本コラム№33で紹介した小説、『聖なる予言』に描かれた「コントロールドラマ」に当てはめてみたい。この小説には、〈相手のエネルギーを奪おうとする〉脅迫者と尋問者、〈自分のエネルギーを確保しようとする〉被害者、〈脅迫者や尋問者に批判されるようなことは何も言わないように、常に距離を置いていた〉傍観者のことが書かれている。
今回、少女の命(生命エネルギー)を奪った父親は脅迫者&尋問者である。被害者である少女はアンケートでSOSを小学校(担任の女性教師)あてに発した。この少女は、母親も自分と同じように夫(父親)からDVを受けている被害者であることを知っていたので、勇気を奮って外部(小学校・教育委員会・児童相談所)に向けてSOSを発信した。しかし、唯一の希望を託した外部は父親の剣幕に屈して、傍観者となった。DVの被害者である母親もまた、さらなる被害を避けるために、傍観者の役割を演じた。
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