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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、中国の春節で横ばい

連載 2019-02-11


マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=180円水準、TSRが150円台前半で膠着化した。

 中国の春節(旧正月)で上海ゴム市場が休場になる中、東京ゴム相場は動意を欠いた。アジア圏の中華系の投資家、ディーラーが連休入りする中、売買判断の材料が見当たらない状況になった。出来高も極端に落ち込んでおり、実質的な開店休業で時間だけが経過する1週間になっている。手掛かり難から為替相場の動向が注目されたが、ドル/円相場の値動きも鈍く、東京ゴム相場は身動きが取れない状況に陥った。

 中国の春節で金融市場全体が動意を欠いたが、特にコモディティ市場は中国経済への依存度が高いだけに、積極的な売買が手控えられている。連休明け後の上海ゴム相場の動向を見極めたいとのムードが支配的であり、積極的にリスクテイクを進めるような動きは見られなかった。薄商いの中で不規則な急伸・急落が繰り返されるようなこともなく、180円の節目水準に居心地の良さを感じた向きが多かった。

 タイ中央ゴム市場の現物相場は、2月7日時点でUSSが前週比横ばいの1キロ=43.35バーツ、RSSが同0.7%高の45.32バーツとなった。やや集荷量の減少傾向が見受けられたが、現物相場にも目立った動きは見られなかった。

 季節サイクルが重視される相場環境が続いているが、生産期から減産期への移行が進むタイミングと連動して、ゴム相場は当限主導でコアレンジを切り上げた。昨年11月21日の151.00円をボトムに、今年1月21日には193.40円を記録している。ただ、その後は期先が減産期を外れることで180円水準まで反落しており、ここからさらに期先主導で反動安が進むのか、それとも当限主導で改めて反発が進むのかが問われている。

 過去のデータでは、12月と1月のゴム相場は上昇しやすい一方、2-6月にかけては下落しやすい季節サイクル性を有している。こうした教科書的な季節サイクルを重視した売り圧力が継続するか否か、まずは春節の連休明け後の上海ゴム相場の動向を見極めたいとのムードが支配的である。上海ゴム相場がさらに値崩れを起こすのか、それとも底入れ感を見せるのか、上海ゴム市場の中国人投資家の売買動向が注目されるのみである。

 一方、需給面には特に目新しい動きはみられない。米中通商協議が改めて北京で開催される見通しであり、その結果次第では月内に米中首脳会談で最終合意を目指す可能性もある。しかし、先行き不透明感からゴム相場の反応は限定されている。中国市場の下値切り下げの有無だけが問われている。

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