【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、産地主導の上昇一服で反落
連載 2019-02-04
マーケットエッジ株式会社代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、RSSが1キロ=170円台後半、TSRが140円台後半まで急落する展開になった。
減産期入りを見据えた当限主導の急伸地合に過熱感が強まる中、1月25日のRSSの1月限納会と前後して調整売り優勢の地合に転換している。特に目立ったネガティブ材料などが浮上している訳ではないが、12月限の納会値が148.00円だったのに対して、1月限の納会値は199.50円に達しており、1カ月で51.50円(24.1%)も相場水準が切り上がったことに対する反動圧力が生じている。
上海ゴム先物相場も、1月中旬には1トン=1万2,000元台乗せを打診していたのが、足元では1万1,000元台前半まで軟化し、約1カ月ぶりの安値を更新している。
中国政府は1月29日、自動車を柱とする消費刺激策を発表した。買い替え時の補助金交付、中古車取引の減税などで、昨年に28年ぶりの前年割れとなった自動車市場をテコ入れすることになる。ただ、2017年まで小型車減税で需要を喚起していた直後とあって、マーケットでは自動車市場の刺激効果に懐疑的であり、上海ゴム相場の下押し圧力に修正を迫ることはできなかった。
タイ中央ゴム市場の現物相場は、1月31日時点でUSSが前週比1.5%安の1キロ=43.35バーツ、RSSが同4.5%安の45.02バーツとなっている。当初は消費地相場の下げに対して目立った反応を見せていなかったが、消費地相場が急落傾向を強める中、「産地主導の上昇」が「消費地主導の下落」に転換し始めている。
産地ではウィンタリング(落葉期)の時期を迎えており、これから徐々に集荷量が落ち込むことになる。減産期のピークは4月前後になる傾向が強く、供給サイド主導の需給引き締め圧力が発生し易い状況が続く。しかし、東京ゴム相場の期先限月は6月限から7月限に移行しており、余程の異常気象が発生しない限り、減産期から生産期への移行が進んでいる時期になる。実際に、産地主導の上昇圧力に対して最初に抵抗を示したのは期先限月であり、減産期に向けて当限主導で上昇していた相場が、生産期に向けて期先主導で下落する相場に転換している。
東京ゴム市場では急激な逆サヤ(期近高・期先安)の解消も進んでおり、若干の逆サヤ状態が残された状態に留まっている。当限主導の上昇圧力が一服していることが確認できる。
例年、ゴム相場は1月をピークに2月前後に調整リスクが高まり、6月前後まで下落する季節傾向が見受けられる。その季節傾向に沿った教科書的な売り圧力が観測され始めている。
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