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連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」⑭

ゴムの展示会EXPOはないのか?

連載 2018-12-25

加藤事務所代表取締役社長 加藤進一

 世界でゴム関係の展示会はどのぐらいあるのでしょうか?

 残念ながら現在日本にはゴム製品、ゴム材料、ゴム機械に特化した展示会はありません。強いて言えば、約10年に一回、国際ゴム技術会議、ゴムエラストマー技術展(International Rubber Conference)が日本で行われます。最近では2016年に北九州で開催されました。その前が2005年横浜開催でした。加藤は2005年も2016年もこの技術展の委員を務めました。またIPF(International Plastic Fair 国際プラスチックフェアー)でもゴム関係の展示がありますが、ゴムに特化したEXPOではありません。ではゴム関係の展示会は世の中にはもうないのでしょうか?世界ではどんなゴム展示会があるでしょう。

中国のRubber Tech China


 中国にはゴム関係の展示会が毎年いくつかあります。Rubber Tech Chinaはゴムに特化した展示会で毎年9月に上海で開催されます。http://en.rubbertech-expo.com/がそのサイトですが、出展社700社、参加者数3万人、展示会場5万平方メートルという世界最大規模のゴム展示会です。ゴムに特化した展示会の参加者数ではこれがたぶん世界一のEXPOです。ゴム材料、機械、タイヤメーカーの出展だけで700社あるので、すごいものです。日本からの出展は10社ぐらいでちょっと寂しい。中国マーケットを意識した展示会です。

 これ以外にはChina Rubber Conferenceに併設してChina Rubber EXPO、中国ゴム工業展が毎年3月に開催されます。中国ゴム工業協会が主催です。会場はホテルの会場を使いますので、小規模です。また開催場所は青島、広州が多く、その地域の材料、機械メーカーが出展するのが特徴です。ゴム工業協会主催ですので、政府系展示会という感じもしますが、併設のChina Rubber Conferenceは中国ゴム業界の動向に関する発表があり、これもなかなか中身が濃い会議です。英語の同時通訳もあります。

 さらにゴム専門ではありませんが、ChinaPlas 展示会も巨大な樹脂、ゴムのEXPOです。出展の約3割ぐらいがゴム関係の展示です。樹脂が中心の展示会ですが、毎年5月に上海か広州で開かれます。展示社数が3500社、参加者数18万人、展示会場が25万平方メートルと巨大な会場です。1日ではとても見きれません。

インドのIndiaRubber EXPO


 インドにも大きなゴム展示会があります。2年ごとに1月に開催される、India Rubber EXPOです。近々では2019年1月にMumbai市で開催されます。中国以外ではAsia No1だとうたっています。ゴムだけの展示会で、欧米、中国からの出展もあります。出展社数300社、参加者数2.7万人、会場広さ2.6万平方メートルです。出展社数は中国RubberTechChinaの半分ぐらいですが、参加者数は中国とほぼ同じ。これだけゴム関係者がインドにいるということです。 

 加藤事務所も合弁会社がインドにありますので、インド側パートナーRamcharan Companyといっしょに出展します。会場にはやたら人がいる、全部のブースを見て回ると、2日間ぐらいかかります。

米国のInternational Elastomer Conference EXPO


 米国には、米国ゴム学会主催Rubber Division, International Elastomer Conference & EXPOが毎年10月にあります。特に2年に1回は大規模なゴム展示会となります。どちらかというとタイヤ以外の工業用ゴム会社用の展示会です。Conferenceは学会発表会で、日本のゴム協会年次大会と同じです。来年はClevelandで 196回目のConferenceですから歴史のある会議、EXPOです。約100年前から主催されています。20年前に比べると規模はやや小さくなった気もしますが2017年ClevelandでのEXPOの出展社数は270社でした。ゴム原材料、試験機、ゴム機械、コンサルタントが出展します。コンサルタントの出展が多いのも米国らしいです。

 米国でのタイヤ関係ですと、International Tire EXPO & Conferenceが毎年9月に開催されます。タイヤ関係の機械、材料、試験機の展示会と会議がOhio州Akron市で開かれます。

ドイツのTire Technology EXPO


 欧州ではTire Technology EXPOが毎年3月にドイツ、ハノーバー市で開催されます。これも2018年は260社が出展し3000人ぐらいが参加していました。欧州のタイヤ業界の動きがよくわかります。併設のタイヤ会議もレベルが高く、日本からタイヤ会社の方が30名ぐらいは参加しています。

 工業用ゴムの技術では、ドイツのニュールンベルグ市で7月に開かれる、German Rubber Conference & Trade Exhibitionも充実しています。300社ぐらいが出展し、3000名ぐらいが参加します。欧州のゴム材料、機械、試験機メーカーが出展します。技術会議に参加する日本のゴム技術関係者、大学関係者も毎年多くいます。これ以外にもフランス、イタリアでもゴムの展示会が数年おきにありますが、欧州ではこのドイツの展示会が一番大きいようです。

 加藤もこれらの展示会には毎年参加して、情報交換、新しい商品、材料の発掘をしています。毎回何かこれはというものがでてきます。

ロシアのTire&Rubber Moscow


 これ以外にも、タイのGRTE Global Rubber,latex EXPO、ブラジルのEXPOBORInternational Rubber Technology Show 、南アフリカのAfrica Rubber EXPO(70社出展)、ドバイのArab Rubber EXPO、インドネシアのPlastic&Rubber Indonesia、ベトナムのVietnamInternational Plastics and Rubber Industry Exhibition、台湾のTaipeiPlas、韓国のKorea Plastic and Rubber Materials and Composite Show、ロシアのTire&Rubber Moscowがあります。

 加藤もこれらの展示会には毎年できるだけ参加しています。

 つまり、日本以外にはほとんどの国でゴムの名前がついた展示会があるということです。

 日本にはゴム関係の展示会がないので、世界にもゴム関係の展示会EXPOがないと思っていましたが、ないのは日本だけで、世界各国にはゴム関係の展示会が数多くあるのです。どうして日本にはないのでしょうか?残念です。

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