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連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」⑬

米中貿易戦争は日本のゴム業界に大いに関係あり

連載 2018-10-15

 ゴム薬品もかつては中国国内の環境規制が厳しくなり、ゴム薬品メーカーの操業停止、制限により価格が上がりましたが、ここにきてCZ、6Cも価格が下がり始めています。余りつつあります。カーボンブラックも同様です。中国国内品が不足不足と言っていたのが、急に余りつつあります。カーボンブラックメーカーは、国内では売れないのでインドや東南アジアに安く輸出しようとしています。タイヤ原材料市況はここにきて、半年前と全く逆の動きが出てきています。実際中国では景気の減速が見られ、新車販売台数が9月は前年比10%減となりました。この結果タイヤ生産量、ゴム部品の生産量がマイナスになります。

 その結果日本のタイヤ、ゴム製品メーカーにとっては、天然ゴムが安いままで推移する。合成ゴムの原料のブタジエンもナフサ高の中、意外と安くなりつつあるというメリットがでてきます(SBR、BRについてですが)。

 一方、日系タイヤメーカーの中国製タイヤも米国に結構輸出されていました。これにも同じように関税がかかるようになりました。そのため、日本のタイヤメーカーは中国生産をその分減らし、その代わり、日本、台湾、タイのタイヤ生産を増やしてそれを米国に輸出するようです。これで日本のタイヤ生産量が増えます。10%程度増やす会社もあるそうです。日系ゴム部品メーカーは中国で生産し米国に輸出していたものを、急遽日本、アジア各国での生産にシフトするということです。部品によっては、最終ユーザーの承認がいるので、そのシフトには時間がかかる場合もあるでしょう。こうすると、とりあえず日本でのタイヤ、ゴム部品生産が増え、日本のゴム原材料がその分必要になる可能性があります。意外と日本のタイヤ生産が増え、その結果、原材料での国産品がその分需要が増えるという場面もありそうです。また中国生産をすぐにタイ、ベトナム、インドネシアでの生産に切り替る。その準備に大忙しという会社にありそうです。

 米中貿易戦争は、日本のゴム産業界にも影響を与えそうです。

 下の写真は2018年中国タイヤEXPO展示会場での写真です。輸出用のタイヤがたくさん展示されていました。

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