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【マーケットアナリティクス】

天然ゴムの動向、円反落で下げ一服

連載 2018-02-26



マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努

 TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=180円台前半から中盤にかけて底固い展開になった。中国が旧正月の連休入りする中、新規手掛かり難の中で為替が円安方向に振れたことが好感されている。2月16日には昨年6月17日以来の安値となる179.20円まで値下がりしていたが、185円水準まで切り返している。

 上海ゴム相場は2月15-21日まで1週間にわたる連休となったが、その前後で目立った価格変動は見られなかった。1トン=1万2,000元台中盤での取引に終始している。上海ゴム相場の休場中の東京ゴム相場は総じて底固く推移したが、単に円安に反応しただけとの冷静な評価が優勢になっている模様だ。

 上海ゴム相場の休場明け後は、連休の反動で中国勢の買い付け拡大を期待する向きもあったが、実際には昨年と同様に旧正月前後で目立った変化は見られなかった。約8ヵ月ぶりの安値圏となる1万2,000元台中盤で、改めて下値を模索するのか、短期底入れでリバウンドするのか、結論を出せない状況が続いている。

 東南アジアの産地では、乾燥地域が徐々にではあるが広がりを見せている。従来のタイ北部、カンボジア、ラオスなどに加えて、タイ南部、マレーシア西部などでも降水量が本格的に落ち込み始めている。雨季から乾季への移行が着実に進んでいることが確認できる。

 ただ、産地の集荷環境には目立った変化が見られない。タイ中央ゴム市場の集荷量も安定しており、中国の旧正月中にも目立った増減は確認できなかった。現物相場もほぼ横ばい推移に留まっており、結果的にここ1週間の東京ゴム相場のリバウンドについては、「自律反発」と「円安要因」との評価が妥当であることが確認されている。

 上海ゴム相場の連休中は薄商いの中で東京ゴム市場では未決済の取組高が急増したため、一旦相場が大きく動き出すと、必要以上の値動きが実現する可能性も高まっている。ただ、上海ゴム相場の連休明け後も東京ゴム市場の売買は低調であり、積極的な売買は見送られ続けている。

 目先は月末・月初に発表される中国の経済指標が注目されるが、ここ数カ月は積極的な売買材料とされない傾向が強い。産地相場の低迷でコスト割れが警戒されること、季節要因から今後の供給減少が確実視されること、生産国の輸出規制期間中であることを考慮すれば、現行価格水準からの下値不安は限定される。ただ、ゴム相場の反発の有無は上海ゴム市場における中国投機筋が握っており、現段階では目立った動きを確認することはできていない。

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