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連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」⑨

世界第5位の自動車生産国、世界第4位の自動車販売国はどこ?

連載 2018-02-13

 これだけ自動車生産が増えれば、ゴム部品もたくさん必要になってきます。しかし日系を含め外資のゴム会社の進出はあまり進んでいません。というよりも、進出しても利益がでないので足踏み状態になっています。日系ではタイヤメーカー以外では利益がでている会社はないのでは。それは現地のゴム会社が多く、会社数では日本の6倍もあり、現地系がそこそこのゴム部品を安い価格で生産しており、現地系ゴム会社との価格競争が厳しいのです。日本のゴム会社(成形、商社、材料メーカー)の数は約800社ぐらいありますが、インドには6,000社(天然ゴム製造会社も含め)のゴム関連会社があります。ちなみに中国は8,000社です。どうしてそんな安い部品ができるのか? 人件費が安い。ゴム材料もSBR、天然ゴム、カーボンブラック、ゴム薬品、プロセスオイルとなんでも国内生産されています。ないのはEPDM、NBR、CRぐらい。またゴムの技術者がたくさんいて、大学のゴム学科も3校あります。さらに求められるゴム部品の機能、品質レベルが、中国、タイより低く、それであれば、現地ゴム部品で十分使えるということになります。だからインドでは日系ゴム会社の生産品は高機能部品、重要保安部品に限られてきます。駄物のゴム部品は生産していません。

 今後インドの自動車産業はどうなるか?政府の方針もありEV化が進みます。現地のタタ社、マヒンドラ社はEV車のコンセプトカーを出しました。また今までは実用第一主義でしたが、今後はSUV車も増えてくるでしょう。ただ道が狭いので、次の10年間も小型車が中心になるでしょう。ここが中国と違うところです。

 加藤事務所も50%出資してインドで樹脂のコンパウンド工場を作りました。この樹脂コンパウンドの販売先は、その90%は現地系成形会社で日系ではありません。その方が市場規模が大きいので、仕事があるのです。樹脂市場ではインドは自動車向けより、一般家庭用品、GeneralPurpose用が多く、たぶん自動車用途は30%ぐらいでしょう。まずはインド市場にうまく入り込んでいきたいと思います。 

Indo-JapanPolymersのブース



 2018年2月上旬にインドのアーメダバード近郊で開催されたPLASTINDIAという樹脂の展示会に出展、参加してきました。K-Show(EU)、Chinaplas(中国)に次ぐ世界3番目の規模の樹脂関係の展示会です。当社のインド合弁会社Indo-Japan Polymersが出展しており、その合弁会社のプレジデントを加藤進一がやっています。出展社が2,000社を超え、訪問参加者数は六日間で延べ20万人を超えると予想されています。展示会場も12万平米でとにかく広く、参加者が多く、人だらけでびっくりしました。日本のIPF2017樹脂展示会の出展社数が3倍、参加者が5倍という感じです。とにかく人口が多いということは市場が大きい、自動車産業だけでなく、一般用の樹脂製品がたくさんあります。化粧品、シャンプーボトルだけで、大きな市場があります。自動車生産も、車を買う人、使う人の数が多いということで、インドが世界市場の中でその存在感を高めてきていると実感しました。

日系のブース

入口付近の様子

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