【マーケットアナリティクス】
天然ゴムの動向、上海主導で上値重い展開
連載 2018-02-13
マーケットエッジ株式会社 代表取締役 小菅 努
TOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1キロ=190円台前半で上値の重い展開になった。上海ゴム相場の軟調地合が続く一方、為替相場では円高傾向が維持される中、戻り売り優勢の展開が続いている。大きく値崩れを起こすことはなかったが、未だボトムを確認するには至っていない。
上海ゴム相場は1月23日に1トン=1万4,000元の節目を下抜いたが、2月入りしてからは1万3,000元での攻防を経て、1万2,000元台前半まで更に値下がりしている。昨年10~11月は1万3,000元水準でボトムを確認していたが、今回は昨年6月以来の安値圏まで値下がりしている。
2月16日から始まる旧正月を控えての流動性ひっ迫、中国株の急落、人民元相場高などの影響を指摘することが可能だが、中国コモディティ市場の中で大きく下落しているのはゴム相場のみであり、他の鉄鉱石や石炭相場などは目立った動きを見せていない。ゴム相場が割安なのか、鉄鉱石などが割高なのかは議論が割れている。
注目度が高かった中国の1月貿易収支では、輸出が前年同月比11.1%増、輸入が同36.9%増と、中国貿易活動の活発化が示された。ただ、こうしたマクロ経済指標は殆ど材料視されておらず、専ら投機要因で上海ゴム相場が下落し、それが東京ゴム相場の上値も圧迫する展開が続いている。
東南アジアでは、引き続きタイ北部やカンボジア、ラオスの降水量が抑制されているが、タイ南部やインドネシア、ベトナムでは週間で25-200ミリの降水量が確保できている。タイ中央ゴム市場の集荷量などをみても、特に目立った落ち込みは確認できない。今後は乾季による減産圧力が強まることになるが、足元では総じて良好な集荷環境が維持されており、それが消費国の在庫積み増しを促す流れに変化は生じていない。
上海ゴム相場と比較すると、産地オファーには若干の底固さが見受けられるが、産地主導で東京ゴムや上海ゴム相場のリバウンドを促すような動きは見られなかった。
米国株が過去最大の下げ幅を記録、原油相場が高値から急落するなど、ゴムの投資環境としてはネガティブ材料が目立つ。単純に人民元が対ドルで2年半ぶりの高値を更新していることだけでも、人民元ゴム相場のダウントレンドは支持される。
ただ、既に産地では生産コストラインも警戒される価格水準に到達しつつあり、これ以上の値下りが許容できるのかは疑問の声も上がり始めている。中国の旧正月入りと前後して、急落地合が続く上海ゴム相場の鎮静化が実現するか否かが注目を集めている。
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