連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」⑨
世界第5位の自動車生産国、世界第4位の自動車販売国はどこ?
連載 2018-02-13
加藤事務所代表取締役社長 加藤進一
世界各国で自動車が生産されています。さて自動車生産台数で世界第5位の国はどこでしょうか? 1位が米国と思う方はたぶん70歳ぐらいの方でしょう。40年前には米国が世界一でした。当然、現在、生産台数世界一の国は、中国です。2016年は年間約2,811万台の生産で、2017年はたぶん約2,950万台ぐらいでしょう。世界2位は、さすがに米国です。2016年は約1,219万台で、2017年もたぶん1,250万台ぐらいでしょう。3位は? え日本?ドイツ? どこ? 第3位は日本です。2016年は920万台で、2017年もそれを少々上回るでしょう。日本の生産台数は、かつては年1,000万台でしたから減ったことになります。海外生産に移管されたのです。
さて生産台数第4位の国は? ドイツ? フランス? イタリア? 韓国? 正解はドイツです。2016年で606万台の生産でした。
それでは生産台数で第5位の国はどこでしょう? 韓国? 惜しい。
正解はインドです。2016年の韓国の生産台数が422万台で、インドが448万台。ついに2016年にインドが韓国を抜いて、生産で世界第5位になりました。ちなみにフランスは2016年生産台数で208万台、スペインが288万台、ブラジルが215万台、メキシコが359万台、カナダが237万台、タイが194万台です。
さらに自動車(4輪車)の販売台数でみると中国1位、米国2位、日本3位、そしてインドが堂々4位で、国内の販売台数ではドイツを抜きました。ドイツは、生産は多くても輸出も多いのです。
どうしてインドが生産台数で世界第5位になったのか? インドは人口が世界2位の約12.6憶人です。韓国は0.5億人です。やはり人が多いということは、その所得が増え中間所得層と言われる人の絶対数が増えてきたということです。インドでは一般的な会社(上場はしていない、例えば人数200人程度の会社)で、役員はすでに自家用車を持っています。部長も数年前に車を買いました。今や課長クラスも安い車を買えるようになってきました。ということが起こっています。また道の整備が少しずつ進んできています。私も年に数回インドに出張しますが、行くたびに道路が舗装され、道幅がすこしずつ広がっています。もっとも中国のように、政府が決めたので、その土地を没収して、道路を作るということはしませんが。
インドの車は小型車が圧倒的に多く75%を占めます。エンジン1,000CC以下の車です。理由は道が狭い、本当の意味の高速道路はほとんどなく、高速走行が必要ありません。(インドでは中央分離帯があれば、人がそこを歩いて横断しようがハイウェーと呼びます)それよりも安い車です。最も売れている車が100万円以下です。そうなるとトヨタもホンダも苦戦します。ここはスズキが強い分野です。それで車の販売シェアーの約50%をスズキの合弁会社マルチスズキが握っています。日産も60万円の車(エアコンなし、パワステなし、パワーウインドウなし、マニュアル車)を作りましたが、あまり売れませんでした。スズキに続き、現代自動車、ホンダ、フォードが売れています。現地系ですが、タタ自動車、マヒンドラが頑張っています。ただ最近は人気がなく、販売シェアーを落としてきています。外資系では、インドで現地生産している会社は、スズキ、ホンダ、トヨタ、日産、WV, フォード、ルノー、現代自動車等です。今年は起亜自動車も工場をスタートさせます。これ以外にもノックダウン生産ではBMWその他いろいろな会社があります。
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