横浜ゴムは9月16日、AIプラットフォームを開発・提供するdotData(米国カリフォルニア州、藤巻遼平CEO)と、製造業の研究開発(R&D)における技術者の仮説形成と解釈・判断を支援するAIエージェントの共同開発を開始すると発表した。実際の研究開発への本格適用に先立ち、必要となる機能や技術的な実現性を検証する取り組みとなる。

 同開発では、設計情報や実験報告書などの技術文書、技術者が蓄積してきた知見とdotDataの「特徴量自動設計」技術が計測データから導き出す特徴量を組み合わせる。これにより、研究開発の目的や状況、制約などのコンテキストに応じ、AIエージェントが技術者に判断材料を提示する仕組みを構築する。

 AI エージェントが、Human-in-the-loop(人が判断に介在する仕組み)を前提に、複数の可能性や異なる観点からのコメント、留意すべきリスクを提示することで、技術者の発想の幅を広げる後押しをする。AIとともに考える経験の蓄積を通じ、人材の成長にもつなげていく考え。

 今回の開発では、AIエージェントが研究テーマの目的、対象、制約条件といったコンテキストを理解したうえで必要な情報を探索・整理すること。その上で、①設計情報や技術者の知見を踏まえる②データから得られる特徴量を判断材料として提示する③多様な観点からコメントやリスクを提示する④(反復的な対話により)最終的な解釈・判断は人が行う――という4つの形で技術者を支援するものであることを検証する。

  横浜ゴムは“人とAIとの協奏”により、製品・プロセス・サービスの革新と人の成長を目指すAI活用フレームワーク「HAICoLab(ハイコラボ)」を推進している。HAICoLabを策定した2020 年からは、その実践を支えるツールのひとつとしてdotDataを活用、タイヤ設計やゴム混合プロセスなどで、自動設計された特徴量に技術者が多角的な解釈を加えることで、新たな気付きや仮説を得る取り組みを進めてきた。今回の共同開発は、この取り組みをAIエージェントへと発展させる。技術者は、提示された特徴量やコメントをそのまま受け入れるのではなく、自らの専門知識や経験と照らし合わせて解釈・判断する。この経験を重ねることで、技術者自身が新たな視点を取り込み、思考・判断の枠組みである「スキーマ」を広げていく。

 同社は、研究開発プロセスを高度化する「仕組みの変革」と、技術者の発想力や判断力を高める「人材の成長」を同時に進め、製造R&Dにおける人とAIの新たな協働モデルの確立を目指す。