【シリーズ】SUSTAINABLE & RUBBER
三栄コーポレーション/ベネクシー、リサイクルタイヤがスニーカーのソールに-「長く愛される」ブランドを目指す
SUSTAINABLE&RUBBER 2023-06-12
生活関連商品の商社である三栄コーポレーション(本社・東京都)による「Our EARTH Project」は、“より地球にやさしい”をコンセプトに、豊かで美しい地球を、未来の子どもたちに残していくための活動を推進していくプロジェクト。同プロジェクト内で紹介されている製品の一つが、ソールにリサイクルタイヤを採用したスニーカーブランド「O.T.A」(フランス・パリ)のスニーカーだ。その総代理店を、同社関連会社のベネクシー(本社・東京都)が務めている。今回、両社に同プロジェクトと同製品について話を聞いた。
未来の地球環境のため、できることを一つずつ
「Our EARTH Project」は、三栄コーポレーションが「商社にできる環境に優しいこととは何か?」を起点に2019年に立ち上げ、2020年から本格的に開始した。
同プロジェクトには、「サステナブル」「エシカル」をキーワードとした3つの軸――①製品②材料③サービスがある。①は、関連会社が取り扱う多数のブランドからサステナブル、エシカルな製品にフィーチャーし紹介すること。②は、ブランド、国内外のパートナー企業と連携し、環境配慮型材料の提供やそれらを活用したOEMサービスの提供等。また、③は関連団体・活動への参画を指す。
「モノを取り扱う商社として、より環境に配慮した製品や素材の選択肢を広げて、紹介すること。それが、サステナブルな社会やエシカル消費を推進する上での、当社の使命と考えている」(高﨑宣宏三栄コーポレーション服飾雑貨事業部第1部アシスタントマネージャー)
1本のタイヤから3足のスニーカーを
同社関連会社のベネクシーが代理店を務める「O.T.A」は、ソールにリサイクルタイヤを採用したスニーカーを提案するブランド。2018年に創業、2021年にベネクシーを総代理店として日本に初上陸した。
ブランド名は“On The Asphalt”(=アスファルトの上)の略称。「O.T.A」のスニーカーの最大の特徴の一つが、ソールにリサイクルタイヤを取り入れていることだ。「1本のタイヤから、3足のスニーカーが出来上がる」(木村玲子ベネクシーマーケティング部クリエイティブ課クリエイティブ/PRマネージャー)という。ソールには仏・ミシュランのタイヤも使用されているそうだ。
リサイクルタイヤによるソールは、タイヤ本来の耐摩耗性やウェット性能が活きている。そのため、耐久性に優れ、雨の日も滑りにくいことから、長く履くことができる。
同製品は「O.T.A」創設者でデザイナーのアルノー・バルボトー氏が、かつて大手企業のバイヤーを務めていた経験から大量消費の在り方に疑問を抱き、“品質の高さ”と“サステナビリティ”にこだわったモノづくりに取り組もうとするなかで生まれた。
「リサイクルタイヤソール」のアイデアは、2015年に同氏がアフリカで撮影された写真を見たことで浮かんだ。そこには、古い車のタイヤがロープサンダルへと生まれ変わった様子が写っており、「サンダルはあるのに『シューズ』がないのはなぜだろう」と思ったことがきっかけだったという。
ユニセックスかつ、無駄のない洗練されたミニマルなデザイン――特にヒール部分に印字された座標軸にも注目したい。「バルボトー氏が、かつて訪れ、素晴らしい経験をした場所の座標軸が起用されている。『自分の思い出の場所に、共に行ってもらいたい』という同氏の思いが込められている」(同)。
「長く愛される」ブランドを目指して
協働関係である三栄コーポレーションとベネクシーは、生産背景(ストーリー)がしっかりしたブランドを取り入れることを重要視している。
「ベネクシーではフットウェアブランド『ビルケンシュトック』の専門店舗運営代理店を長く担当してきた実績がある。それが活きて『O.T.A』をはじめとするブランドに注目することができた。『O.T.A』も、当社が生産背景やブランドのスピリッツを理解したうえで商品を売り出していくと理解してくれている。ブランドメッセージを埋もれさせず、日本市場に売り出してくれると信頼されているからこそ、同市場での展開を任された。まだまだ小さいブランドだが、焦らずゆっくりと、国内でも長く愛してもらえるように育てていきたい」(同)
最後に、「O.T.A」をはじめとするブランドを広げていくことで未来の地球環境を考える「Our EARTH Project」については「一つひとつのブランドが、想いを持って取り組んでいること。それを『サステナブル』の一本槍で押し付けるのではなく、一歩一歩丁寧にユーザーに伝えていくことを大切にしたい。品質の良いものを取り扱うことをはじめ、できることを積み重ねていきたい」(高﨑氏)。
「長く愛されること」を目指す。それが、環境貢献の枠を超え、持続可能な社会への貢献に図らずも繋がっていくのかもしれない。
ゴム報知新聞版「SUSTAINABLE & RUBBER」は、ゴム業界に関連する国や団体、企業などによる「持続可能な社会の実現」に向けた活動に焦点を当てるシリーズです。なお、弊社ポスティコーポレーション発刊のムック本「SUSTAINABLE & RUBBER」(2022)の掲載内容とは異なります。
ポスティコーポレーション発刊のムック本「SUSTAINABLE & RUBBER」(2022)の詳細はhttps://gomuhouchi.com/other/49351/まで。
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