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【マーケットアナリティクス】

天然ゴム相場の6月後半のレビューと7月前半のアウトルック

連載 2016-06-30

6月後半チャート

6月後半チャート


 

6月後半のレビュー

 6月後半のTOCOM天然ゴム先物相場(期先)は、1㎏=150.70円での取引開始後、150円割れから下値を攻めきれなかった反動から自立反発局面を迎え、158.00円(6月23日)までの切り返しをみせた。上海ゴム先物相場も1トン=1万元の節目割れに抵抗をみせ、リバウンド局面を迎えている。しかし、その後はイギリスの欧州連合(EU)離脱を受けてのリスク回避環境、それに伴う急劇な円高を受けて、再び150円の節目を割り込むなど150円台前半から中盤を中心に不安定な値動きが続いている。

 タイ産RSSは6月15日の1㎏=51.89バーツから56バーツ台中盤まで反発している。中央ゴム市場における集荷環境は総じて安定しており、未燻製シート(USS)だと1日平均で6月前半の約5倍水準に達している。エルニーニョ現象も漸く収束に向かい、供給トレンドは上を向いている。しかし、上海ゴム相場がじり高の展開を維持する中、産地オファーもタイ産を中心に底固く推移しており、国際ゴム相場の本格的な値下りは回避されている。

 イギリスのEU離脱を受けて150円台を割り込む場面もみられたが、なお下値切り下げには強い抵抗が見受けられ、上値が重いながらも下値を攻めきれない中途半端な値動きが6月上旬から下旬にかけて持ち越されている。TOCOMのカテゴリ別取組高をみても、非当業者(=投機筋)の買い越し枚数は6,000枚前後で安定しており、売買パワーバランスはほぼ拮抗していることが確認できる。
 
 

7月前半のアウトルック

 イギリスのEU離脱はコモディティ市況に対する影響も大きく、7月前半もこの問題が持ち越される見通し。足元では急劇な株安にブレーキが掛かる兆候もみられるが、突発的なリスクオフ環境が再開されれば、ゴム相場も下押しされよう。ただ、天然ゴム需給環境に対する直接的なダメージまでは想定されておらず、他リスクマーケットと比較するとその影響は限定される見通し。為替相場が1ドル=100円の節目を割り込んだ際も、ゴム相場は辛うじて150円台を割り込む値動きに留まっており、上値が重いながらも急落リスクは限定的と評価している。

 英EU離脱問題に関しては、人民元相場の急落を促していることが、上海ゴム相場に対しては逆にポジティブに機能している面にも注目したい。人民元相場は対ドルで約5年半ぶりの安値を更新しており、中国国内の人民元建て天然ゴム価格に対しては為替要因から押し上げ圧力が強まり易い状況にある。このため、リスク回避局面でも「人民元安→人民元建てゴム価格上昇」と「円高→円建てゴム価格下落」の二つのフローが発生しており、結果的に方向性が定まりづらい。160円台では戻り売りが上値を抑えるとみているが、150円台を中心とした安値低迷状態がメインシナリオになる。

 一方、反発シナリオとしては供給サイドの動向に注目している。日本の気象庁によると、「夏の間にラニーニャ現象が発生し、秋にかけて続く可能性が高い」との見方が示されている。既に海面水温の低下傾向が確認される中、仮に天候不順で天然ゴム生産に障害が発生すると4月の高騰相場が再現される可能性はある。ただ、7月前半にラニーニャ現象が本格化する可能性は低く、この問題がリスクプレミアムとして相場に加算されるか否かの議論は先送りされる可能性が高い。

 イベントリスクとしては、7月1日の6月製造業PMI、13日の6月貿易収支などの中国経済指標が発表される。ここで中国経済見通しにどのような影響が生じてくるのかにも注目している。中国経済の減速リスクが蒸し返されれば、改めて150円割れ定着が打診される可能性はある。

【レンジ】
6月後半の取引レンジ 147.00~158.00円
7月前半の予想レンジ 142.50~167.50円

【プロフィール】
小菅 努(こすげ つとむ) マーケットエッジ株式会社 代表取締役

 1976年千葉県生まれ。筑波大学卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。コモディティ市場や金融市場の調査・研究・分析業務に従事。商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物)

http://www.marketedge.co.jp/
https://twitter.com/kosuge_tsutomu

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