連載コラム「白耳義通信」⑦
「居眠りと欠伸」
連載 2017-04-12
ベルギーでソメイヨシノを見ることは先ずないけれど、八重桜や山桜が目を楽しませてくれる季節になった。ついつい「うとうと」してしまう春。しかし何故、電車やバスでこっくりこっくりと船を漕いで居眠りするのが気持ち良いのだろうか。
さて、先日インターネットで「眠たくなる授業について」一部で話題になったけれど、ベルギーで居眠りについて見聞きしたことを今月は綴りたい。
先ず、電車やバスの中で寝る人は殆どいない。これはやはりスリや置き引きの餌食になることを避ける為だろう。自分もこちらへ来て数年、電車では絶対寝ないように気をつけていたけれど、最近は睡魔に負けて一瞬眠りに落ちてしまうこともある。特に春は要注意だ。
それから授業中に居眠りをする学生も先ずいない。一度徹夜明けで授業に出て、コクッコクッと首を頻繁に垂れていたら、隣にいたベルギー人の友達に軽蔑の眼差しを向けられてしまった。お喋りより居眠りの方が先生に対して失礼のようである。
またある日系企業に務める友人から聞いた話しなのだけれど、採用面接の際、日本人の面接官の一人が寝ていたので、「(自分には一切興味が無いので)てっきり落ちた」と思ったらしい。が、蓋を開けてみれば採用されていたので、とてもビックリしたと言っていた。
小学生の頃、授業中に欠伸をすると「緊張感が足りない」「先生を馬鹿にしている」と大層怒られたものだ。日本人にとって欠伸をされることは、「退屈」という印象を与えるのだろう。ベルギーでは授業中だろうが会議中だろうが欠伸をしても全然問題無い。寧ろ、酸素を充分取り込みリフレッシュして良いと思っている位だ。
もし海外の企業と大切な商談がある際は、居眠りは御法度。商談成立から大きく遠のいてしまうだろう。また相手が欠伸をしていても不満がある訳ではないので、つられて一緒に欠伸をする位の方が、上手く事が運ぶかも知れない。
【プロフィール】
末次 克史(すえつぐ かつふみ)
山口県出身、ベルギー在住。武蔵野音楽大学器楽部ピアノ科卒業後、ベルギーへ渡る。王立モンス音楽院で、チェンバロと室内楽を学ぶ。在学中からベルギーはもとよりヨーロッパ各地、日本に於いてチェンバリスト、通奏低音奏者として活動。現在はピアニストとしても演奏活動の他、後進の指導に当たっている。ベルギー・フランダース政府観光局公認ガイドでもある。
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