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白耳義通信 第80回

「政党と色」

連載 2023-05-18

 最近、ニュースで目にしない日は無い人工知能チャットボット “ChatGPT’。先月、自ら命を断ったベルギー人男性の遺族が、「チャットボットが男性に自殺を促したと主張」するニュースが報じられた。イタリアではチャットGPT の使用を一時禁止するなど、欧州では安全性や信頼性を確保するルール作成が検討されている。

 そういった社会のルールを決めるのが政治家。日本では先月、統一地方選挙が行われたばかりだ。日本の選挙戦では、選挙カーでウグイス嬢が名前を連呼したり、立候補者が交差点に立って手をふったり頭を下げたりする姿が目につく。いかに名前を覚えて貰うか。それに対してベルギーでは、それぞれの街の大広場で各政党がブースを作り、パンフレットを配ったり、市民からの質問に答えたりと、どちらかというと政策の方に重点が置かれているように思う。

 一番不思議なのは、日本の政党(政治家)にカラーがないこと。ここでの「カラー」は、文字通り「色」の方である。ベルギーでは、自由党は「青」、社会党は「赤」、キリスト教系は「オレンジ」、環境政党は「緑」、極右政党は「黒」と、ポスターを見ただけで、この立候補者はどこの政党なのか分かるようになっている。

 いつだったかベルギー人を日本で案内した際、赤がイメージカラーのポスターを見て、「この人は社会党なのか?」と聞かれたが、自民党だったということもあった。日本の場合「いかに他の立候補者より目立つか」「誠実そうに見せるか」「爽やかに見せるか」など、選挙を勝つためにどのようにしたら良いのか、イメージを主眼にカラーを決めているので、そうなるのだろう。

 但し、ベルギーの政治家が日本の政治家より優れているというつもりは毛頭ない。正式な政権が1年以上も存在しなかったり、連立政権が発足するも長続きせず、ここのところ暫定政権的な不安定な状態が続いているのが現状だ。

 そんな政治の話題について口角泡を飛ばし合う場であるブリュッセルの有名カフェ・モンク Monk が閉店するかも知れない。なんでも「歴史的建造物の継続的な運営を確保するために必要な改修工事」の為、オーナーから立ち退きを余儀なくされているようだ。現オーナーがこのカフェを引き継いだ際、一等地にある物件という理由で、日本円にして約1,800万円の手数料と、建物のリフォームに2,200 万円掛けたそうで、「文句」の一つや二つ言いたくなるというのも頷ける。

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