白耳義通信 第79回
「ベートーヴェンとカメムシ」
連載 2023-04-19
ナポレオンの最後の戦いの地となったワーテルロー Waterloo から西に7km。ハルの森 Hallerbos (NL) / Bois de Hal (FR) のブルーベル(野生のヒヤシンス)が人々の目を楽しませる季節となりました。一面に咲いた青い花を見ながら散歩やサイクリングをするのは気持ちが良いものです。
さて「ベルギー出身で有名なクラシック音楽の作曲家といえば?」と聞かれたら、あなたはなんと答えるでしょうか。音楽を専門としている人でも直ぐには思い浮かばないかも知れません。例えば、バロック時代に活躍したジョゼフ=エクトル・フィオッコ Joseph-Hector Fiocco や ジャック・ルイエ Jacques Lœillet などがいるにはいるのですが、現代でも知られている大作曲家とまではいきません。
そんな訳で、ベルギーに因んだ作曲家として、これまでベートーヴェンを事あるごとに取り上げていたのですが、それもできなくなるかも知れないようなニュースが飛び込んできました。先月末発表されたルーヴァン大学などからなるチームの研究に依ると、ベートーヴェンの祖先であるアールト・ヴァン・ベートーヴェン Aert van Beethoven とルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven(運命などを作曲)の間に非嫡出子が少なくとも 1 人いるとのことです。
これまでベートーヴェンの祖父は、私が住むメヘレン出身のロードウェイク・ヴァン・ベートーヴェン Lodewijk van Beethoven とされてきましたが、ベートヴェンの父であるヨハン・ヴァン・ベートーヴェン Johan van Beethoven は私生児の可能性が高く、つまりベートーヴェンはロードウェイクの孫にあたらないらしいのです。
生物学的に突き止めると関係ないかも知れませんが、音楽一家に生まれた親族としての絆、そして後世まで演奏される曲を作った偉大な作曲家に変わりありません。ただ、メヘレン市にあるベートーヴェンの像はどうなってしまうのか心配ではあります。
ところで、最近ベルギーで問題になっているのがカメムシ。長年南ヨーロッパの果物に被害を与えていたのですが、6年前ついにベルギーでも検出。果樹園で問題になっており、対策が緊急課題のようです。独特の匂いを持つカメムシ。新型コロナウィルス(COVID-19)が収まりつつあるなか、アジアからまた驚異がやってきたと、新たな魔女狩りにならなければいいのですが…
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